6curryの譲渡額は非公表 ── 建設会社の加和太建設のもとで、カレーの会員制コミュニティは渋谷から三島の自社施設へ移った
| 発表日 | 2023年1月19日 |
| 譲受企業 | 加和太建設株式会社(1946年設立・静岡県三島市) |
| 譲渡企業 | 株式会社ニューピース(2014年6月設立・東京都品川区)。対象は同社の子会社事業「6curry」(2019年5月に株式会社シックスカレーとして法人化) |
| 事業 | 会員制のカレー店とコミュニティ「6curry」(現在の名称は「6curry&」) |
| 譲渡価額 | 非公表(発表文にも、当事者の公式ページにも記載なし) |
| スキーム | 当事者の発表の表現は「事業譲渡」(株式会社シックスカレーの株式が移ったかは未確認)。店長も加和太建設へ移籍 |
| 出典 | ニューピース ニュースリリース(2023年1月19日・PR TIMES)・6curryの公式note(同日)・加和太建設の公式サイトとnote |
(出典:6curry& 公式サイト・2026年10月16日時点の画面)
譲渡企業の概要
6curryは、会員が店の運営に加わるカレー店として、2018年9月に東京・恵比寿で始まりました。ニューピースの新規事業として生まれ、2019年5月に株式会社シックスカレー(資本金100万円)として独立しています。会員は開店から1年足らずで300名を超え、2019年8月には個人投資家5名から総額「数千万円」を調達しました(同社の発表)。
運営の仕組みは、会員が店長を務める「一日店長」、スタッフを仲間として扱う「MIX STAFF」、会員が立ち上げる「部活動」の3つです(6curryの公式note)。2020年からのコロナ禍で人数制限や一時閉店が続き、会員が交流の価値を感じる機会が減りました(ニューピースの発表)。売上、利益、純資産の開示はありません。
譲受企業の概要
加和太建設は、静岡県三島市に本社を置く建設会社で、まちづくりを自社の役割に掲げています。1946年2月の設立、資本金は4,275万円。従業員は臨時従業員を含めて306名(2025年12月時点)、売上高は157億円(2025年12月期)です(公式サイトの会社情報)。
スローガンは「世界が注目する元気なまちをつくる」。ビジョンのページは、土木と建築をまちの安全を支える基盤としたうえで、それだけでは元気なまちにならないと書き、ソフト面の取り組みを3つ挙げています。住民が愛着を持って関われる仕掛け、行政・事業者・住民が交わるコミュニティ、地域が潤う経済の循環です。沿革には、2019年のみしま未来研究所、2021年のLtG Startup Studioのオープンが並びます。
M&Aの目的・背景
売り手の発表は「まちづくりの中でコミュニティを捉える」ことを、買い手の紹介は居場所づくりを、理由に挙げています。
ニューピースの発表は、事業を続けて社会への影響を広げるには、飲食店の枠を超えて「まちづくり」の文脈でコミュニティを捉える必要があると考えた、と書いています。ニューピースの代表は、加和太建設の代表と話すなかで、「みんなでつくる新しい形のまちづくり」に6curryの考えと響き合うものを感じて決めた、と述べています。
6curryの公式noteは、渋谷・恵比寿の高い家賃を払い続ける難しさも挙げています。店長の地元・三島で2022年6月に開いたPOP UPに手応えがあり、三島を主な拠点にする道につながりました。
加和太建設が譲受の理由を単独で書いた発表は、確認できた範囲にありません。公式サイトは、渋谷・恵比寿で人や体験と出会う場をつくってきた6curryが縁あって2023年から仲間になったと紹介し、「プレイフルなカレー屋」として、まちで過ごす居場所の選択肢の一つを目指すと書きます。自社のnoteは、三島店を置いたLtG Startup Studioを、創業を目指す人が地域の内外から集まる場所と説明し、6curry&に地域と外をつなぐ役割を期待しています。
M&Aの手法・成約内容
事業主がニューピースから加和太建設に変わり、店長も加和太建設へ移りました。2023年1月19日の発表です。6curryの公式noteは、2023年1月から事業主が変わり、店長も移籍して「事業譲渡」が行われたと書きます。ニューピースの発表の題名は「子会社の6curry事業を譲渡」です。株式会社シックスカレーの株式が移ったのか、事業だけが移ったのかは、確認した資料に書かれていません。
譲渡する資産、契約、商標などの範囲と、金額、アドバイザーは、確認した資料に記載がありません。
買収後の経過
譲渡のあと、拠点は東京の渋谷から、加和太建設の施設がある三島へ移りました。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2023年1月19日 | 譲渡を発表。休業中の渋谷店は閉店すると告知(最後のイベントは2月3日・4日) |
| 2023年2月10日(予定) | 三島店のメンバー募集を兼ねたクラウドファンディングを開始(予定と告知) |
| 2023年4月1日 | 「6curry&sauna」三島店がLtG Startup Studio内にオープン |
| 2023年4月5日 | 「6curry&bar」八重洲店(東京ミッドタウン八重洲5階)がオープン |
| 2023年6月1日時点 | クラウドファンディングに約180名が参加。開店後にさらに約20名がメンバーに(加和太建設のnote) |
| 2026年10月16日確認 | 三島店(火〜土曜)と八重洲店(毎週水曜)が営業。運営は加和太建設 |
会員プランは、三島店メンバーが月額2,500円(カレー1日1杯付き・サウナの利用料は別)、6curry&メンバーが月額1,000円、元渋谷店・恵比寿店メンバー向けのOBメンバーが月額500円です(公式サイト・2026年10月16日確認)。
6curryの公式noteは、メンバー数の上限、卒業制度、メンバーになれる時期の限定を検討中と書いています。会員数と会費収入の実績は、開示にありません。
この値段は、どう説明できるか
値段は、確認できたどの資料にも出ていません。見た資料と結果は次のとおりです。
| 見た資料 | 結果 |
|---|---|
| ニューピースのニュースリリース(2023年1月19日) | 金額・取得の条件の記載なし。「子会社事業の6curryを加和太建設に譲渡」とのみ |
| 6curryの公式note(同日) | 事業主の変更、店長の移籍、店舗の変更。金額の記載なし |
| 加和太建設の公式サイト・公式note | 譲受の経緯と運営の紹介。金額の記載なし |
| 6curryの2019年の発表2本 | 資本金100万円で設立。個人投資家5名から総額「数千万円」を調達(内訳なし) |
| 財務の開示 | 6curry(シックスカレー)の売上・利益・純資産は確認できず。加和太建設の売上高157億円は会社全体の数字で、この取得に触れた開示は確認できない。官報の決算公告は原本に当たれていない |
6curryの財務の開示がないため、のれん、利益の倍率、純資産の倍率は出せません。2019年の「数千万円」は、当時の個人投資家からの調達額で、2023年の譲渡の値段とは別の数字です。推測の金額は置きません。
当社(CommerceX M&A)の見解では、払う額は対象単体の事業の価値までとし、まちづくりへの寄与のような買い手側の上積みは、払う額に乗せません。
買い手が読み取れること
新しい拠点は、加和太建設の施設の中に置かれました。渋谷店は閉店し、三島店はLtG Startup Studioの中に開きました。当社の見解では、買収の検討は「買収先のここを、自社のこの力で、こう伸ばせる」を一文にすることから始めます。公式サイトとnoteの記述を本件に当てはめると、「会員が運営に加わるコミュニティの運営力を、自社の創業支援の施設と地域の関係先で、地域内外の人が交わる場にする」です(当社の当てはめ)。
譲渡の前に、三島で店を試していました。2022年6月に6curryが店長の地元の三島でPOP UPを開き、同じ2022年には、加和太建設が運営するLtG Startup Studioでのイベントの企画もありました(6curryの公式note、加和太建設のnote)。三島のPOP UPには手応えがあったと、6curryの公式noteは書いています。
人に頼る事業は、人が移る形で買います。本件では、店長が加和太建設へ移籍しました。6curryの公式noteは、特定の人に依存しない場づくりが課題で、メンバーが運営に関わる文化で解消してきたと書いています。当社の見解では、事業だけを譲り受ける形で人に頼る事業を取るなら、中核の人の転籍同意を、譲渡の実行の前提条件にします。
収入の天井を、買う前に確かめます。会費は月額500円から2,500円で、メンバー数に上限を設ける検討も出ています。収入を伸ばすより、居場所の価値で元を取る設計に見えます(当社の読み)。同じ判断をするなら、会員数、継続率、運営を支える会員の人数、店長への依存、施設の賃料負担を、取得前に数字で見ます。6curryの実際の数字ではなく、一般論です。
渋谷の店は続けず、新しい店を三島の自社施設に開きました。渋谷・恵比寿の家賃の負担は、売り手が挙げた理由の1つです。渋谷店の賃貸借の扱いと譲渡の範囲は、公表されていません。事業だけを譲り受けるなら店舗の賃貸借は賃貸人の承諾がなければ移せず、会社ごと取得するなら契約は原則として会社に残ります。店を残すかどうかは、取得の形と合わせて先に決めます。
よくある質問
Q. 加和太建設は、いくらで6curryを譲り受けたのですか。
A. 非公表です。ニューピースの発表にも、6curryと加和太建設の公式ページにも、金額の記載はありません。確認できた資料に、取得の条件も、財務の数字もないため、値段の推測は置きません。
Q. 建設会社が、なぜカレーの会員制コミュニティを引き継いだのですか。
A. 売り手の発表は、まちづくりの文脈でコミュニティを捉える必要があったと説明しています。加和太建設はソフト面のまちづくりを掲げ、6curry&を、地域の内外をつなぐ居場所として三島の創業支援の施設の中で運営しています。自社の理由を単独で書いた発表は、確認できていません。
Q. 事業の譲渡だったのですか、会社ごとの取得だったのですか。
A. 当事者の発表は「子会社の6curry事業を譲渡」「事業譲渡」と書いています。株式会社シックスカレーの株式が移ったかは、確認した資料に書かれていません。運営は加和太建設で、店長も加和太建設へ移籍しました。
Q. 譲渡のあと、6curryはどうなりましたか。
A. 2023年4月に三島店と八重洲店が開店し、2026年10月時点でも営業しています。運営は加和太建設です。渋谷店は閉店し、会員プランは月額500円から2,500円の3種類です。
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本件の金額は出ませんが、譲渡の理由と、譲渡の前後の動きは、発表から追えます。
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出典
- 株式会社ニューピース「NEWPEACE、地域における新たなコミュニティづくりを推進するため、子会社の6curry事業を譲渡。」(2023年1月19日公表・PR TIMES・2026年10月16日確認)
- 6curry& 店長のnote「【大切なお知らせ】6curryの今後について」(2023年1月19日公表・2026年10月16日確認)
- 加和太建設株式会社 公式サイト:会社情報・ビジョン・HOT TOPIC「6curry&」(2026年10月16日確認)
- 加和太建設株式会社 公式note「"新"が盛りだくさん!今月の加和太建設」(2023年5月1日公表)・「6curry& まちづくりにつなぐこれからのコミュニティの育み方」(2023年6月1日公表)(いずれも2026年10月16日確認)
- 6curry& 公式サイト(2026年10月16日確認)
- 株式会社シックスカレー プレスリリース「カレーブランド「6curry」が法人化。コミュニティ拡大に向け、新たな展開へ。」(2019年7月29日公表)・「会員制・招待制カレーブランド「6curry」が資金調達を実施。Makuakeで渋谷店の初代会員募集も」(2019年8月21日公表)(いずれもPR TIMES・2026年10月16日確認)
(金額は確認できた資料のどれにもなく、本文に金額は置いていません。2019年の調達額「数千万円」は個人投資家5名からの総額で、2023年の譲渡の値段ではありません。会員数は2019年8月の同社発表と、2023年6月の加和太建設noteの時点の値です)