SODAの64.85%に2,100億ウォン ── うち現金は約半分。値段は発表になく、NAVERの決算に出ていた
| 発表日 | 2023年10月4日(NAVERの連結財務諸表は2023年12月の取得と記載) |
| 譲受企業 | KREAM Corporation(韓国・非上場。NAVERの連結子会社) |
| 譲渡企業 | 株式会社SODA(2018年7月31日設立・東京都渋谷区) |
| 事業 | 限定品のマーケットプレイス「SNKRDUNK(スニーカーダンク・スニダン)」 |
| 譲渡価額 | 発表文は非公表(評価額530億円・優先株式ベース)。NAVERの連結財務諸表では、64.85%の対価が2,100億ウォン(約230億円・当社試算)。内訳は現金1,014億ウォンと、先に持っていた持分の公正価値1,086億ウォン |
| スキーム | 既存株主からの株式の追加取得(段階取得)。連結子会社化 |
| 出典 | SODA ニュースリリース(2023年10月4日)・NAVER 連結財務諸表の監査報告書(第26期・第27期) |
(出典:SODA inc. 公式サイト(soda-inc.jp)・2026年10月16日時点の画面)
(出典:株式会社SODA ニュースリリース(2023年10月4日・PR TIMES掲載)・2026年10月16日時点の画面)
譲渡企業の概要
SODAは、スニーカーやトレーディングカードなど、限定品の売買の場「SNKRDUNK(スニダン)」を運営する会社です。設立は2018年7月31日、本社は東京都渋谷区。発表の時点で、スニダンの利用者は月間500万人以上。2023年1月には、ブランド公式の商品を扱う「HYPE DROP」も始めています(SODAの発表)。
SODAは非上場で、売上・利益・純資産は、発表文にも確認できた開示にもありません。
譲受企業の概要
KREAMは、韓国で限定品の売買サービス「KREAM」を運営する非上場の会社です。NAVER子会社のSNOWの事業として2020年に始まり、スピンオフしました。発表時の取引量は、年間230%超の伸び(SODAとNAVERの発表)。NAVERの連結財務諸表は、KREAMへの持分が2025年末で43.30%と50%未満でも、株主と取締役会の構成から支配しているとみて、子会社に入れています。
M&Aの目的・背景
狙いは、海外市場の獲得、ファッションB2C領域の強化、アジア太平洋で最大の売買の場の実現です。SODAの発表が、この3つを理由に挙げています。両社が別々に展開してきたアメリカとアジア各国で、品ぞろえを増やし、真贋鑑定と物流の仕組みを安定させます。
SODAの現経営陣は続投で、SODAの代表取締役はKREAMの取締役にも参画する予定です。数年以内の「スウィングバイIPO」(グループ入りしたあとの上場)を目指すと発表しましたが、2026年10月16日時点で上場を示す開示は確認できておらず、自社で作る案との比較も、開示にありません。
M&Aの手法・成約内容
取得の形は、既存株主のKREAMによる、他の株主が持つSODA株の一部の買い増し。増資ではなく株の売買のため、代金は会社でなく、株を売った株主に渡ります。発表文は、評価額530億円(優先株式ベース)で追加取得し、持分が約65%になってSODAが連結子会社になると書き、取得金額と取得日は記載していません。
| 時点 | 出来事 | 発表された評価額・持分 |
|---|---|---|
| 2021年7月29日 | シリーズC約62億円。KREAMがリード投資家(SODAの発表) | 評価額 約240億円 |
| 2021年12月2日 | SoftBank Vision Fund 2 が出資(東京通信グループの開示) | 評価額 約380億円 |
| 2023年10月4日 | KREAMが他株主の保有分を追加取得し、連結子会社になる予定と発表 | 評価額 530億円(優先株式ベース)・持分 約65% |
| 2023年12月 | NAVERの連結財務諸表が、議決権のある株式64.85%の取得を記載 | 持分 64.85% |
KREAMは2021年7月から約2年2か月(当社計算)、株主の立場にいました。NAVERの連結財務諸表では、SODAは2023年に支配を得るまで、持分法の関連会社でした。株を売った側の株主の開示からは、SODA株の売却と金額は確かめられませんでした。
この値段は、どう説明できるか
発表文に代金はなく、NAVERの監査済み連結財務諸表の注記に値段が出ています。第26期(2024年12月期)の注記34の記載は、2023年12月の議決権のある株式64.85%の取得と、取得の対価2,100億ウォン。円換算は、同じ財務諸表の円建て借入金(50億円=456億3,300万ウォン)から当社が出した2023年12月末の換算(1円=9.13ウォン)による試算です。取得日は注記にないため、12月末の換算を使いました。
| 項目 | 金額 | 円換算(当社試算) |
|---|---|---|
| 取得の対価 | 2,100億ウォン | 約230億円 |
| うち現金 | 1,014億ウォン | 約111億円 |
| うち先に持っていた持分の公正価値 | 1,086億ウォン | 約119億円 |
| 受け入れた純資産(時価評価後) | 824億ウォン | 約90億円 |
| 非支配株主の持分 | 295億ウォン | 約32億円 |
| のれん | 1,571億ウォン | 約172億円 |
のれんは、取得の対価(先に持っていた持分の時価を含む)と非支配株主の持分の合計が、受け入れた純資産を上回った額です(2,100億+295億−824億=1,571億ウォン)。非支配株主の持分は純資産の比例額で測るため、のれんに入るのは取得した持分の分だけです(NAVERの注記と会計方針)。2,100億ウォンのうち、のれんは74.8%(当社計算)。のれんの中身を説明する記載は、注記にありません。
対価の内訳は、現金が48.3%、先に持っていた持分が51.7%(当社計算)。先の持分は、支配を得た日の時価で評価し直されて対価に入ります。NAVERの持分法の表では、SODAの帳簿価額が支配を得た時点で914億ウォン、公正価値が1,086億ウォン、差は172億ウォン(当社計算)。この差が損益にどう出たかは、確認した注記に記載がありません。
対価を持分64.85%で割ると、100%換算で約3,239億ウォン(約355億円・当社試算)。受け入れた純資産824億ウォンの約3.9倍。受け入れた資産1,616億ウォンのうち、無形資産は940億ウォンで58%(当社計算)。発表文の530億円は優先株式ベースの評価で、NAVERの対価(現金と先の持分の公正価値の合計)と同じ物差しかは、注記から確かめられません。売上と利益の開示がなく、のれんが営業利益の何年分かは出せません。
のれんは、円に直すと2025年末まで同じ額
NAVER連結でSODAに配分したのれんは、2024年末が1,612億ウォン、2025年末が1,580億ウォン。各年末の換算(末尾の注)で円に直すと、どちらも約172億円で、取得時と同じです。ウォン建ての増減は、円建ての額を換算した差と読めます(当社の読み)。会計方針は、のれんを償却せず、毎年、減損の検査をする方式です。
買収後のSODA
SODAの公式noteは、トレーディングカードが想定を大きく上回って伸び、ファッションは伸ばしきれていないと書いています(2026年7月3日)。発表が理由に挙げたのは、ファッションB2C領域の強化。SODAの代表取締役は続投し、同じnoteで、ファッション領域には2025年末から力を入れていると述べています。SODAの2025年10月の資料は、会員750万人超、プロの鑑定士100名以上。
買い手が読み取れること
発表の「評価額」は、払った代金ではありません。SODAの発表は530億円、NAVERの注記は対価2,100億ウォン(約230億円)で、同じ物差しとは限らない数字。買い手が非上場でも、親会社が上場か外部監査を受けるなら、決算の注記に対価の内訳が出ることがあります。発表に金額がない買収は、親会社の決算注記まで確かめます。
先に株主として入ると、会計上の値段の約半分は、先に持っていた持分の時価になります。この件の現金は対価の48.3%。のれんを規則的に償却する会計基準の買い手なら、同じ172億円ののれんで毎期の償却費が出ます。自社の会計基準で、同じ取引がどの費用になるかを、買う前に確かめます。
利益の開示がない相手は、純資産に対する倍率と、無形資産の中身で見ます。この件は、時価評価後の純資産に対して約3.9倍、受け入れた資産の58%が無形資産。当社(CommerceX M&A)の見解では、払う額は単体の事業の価値までとし、両社の海外展開による上積みは、実現するまで数字にならないため、価格の根拠にしません。物差しは、自社で同じ会員基盤と鑑定の体制を作る費用と期間です。
買収の理由は、一文で言えるかを、金額より先に確かめます。当社の見解では、「買収先のここを、自社のこの力で、こう伸ばせる」と言えるかが、価格の前の確認。発表文を一文にすると、「別々に展開してきたアメリカとアジア各国で、品ぞろえを増やし、真贋鑑定と物流を安定させる」です。「どちらのどの力で」の具体的な記載は、発表文にありません。買った後に伸びたのも、理由のファッションでなく、トレーディングカード。事業計画は、理由の領域と実際に伸びた領域を分けて追います。
よくある質問
Q. KREAMは、いくらでSODAを買ったのですか。
A. 発表文に取得金額はなく、評価額530億円(優先株式ベース)だけが出ています。NAVERの連結財務諸表では、64.85%の対価が2,100億ウォン(約230億円・当社試算)で、現金1,014億ウォンと、先に持っていた持分の公正価値1,086億ウォンの合計です。
Q. 評価額530億円と、NAVERの対価は、なぜ違うのですか。
A. 530億円は優先株式ベースの評価で、NAVERの対価は現金と先の持分の公正価値の合計。同じ物差しかは、注記から確かめられません。対価を持分で割った100%換算は約355億円(当社試算)で、差の理由は開示にありません。
Q. 売上や利益から、のれんの年数は出せますか。
A. 出せません。発表文にもNAVERの注記にも、SODA単体の売上と利益はありません。代わりに出るのは、時価評価後の純資産に対する倍率(約3.9倍)と、受け入れた資産に占める無形資産の割合(58%)。
Q. 買収の後で、のれんは減損されましたか。
A. SODA分ののれんは、2024年末と2025年末の換算で円に直すと、どちらも約172億円で、取得時と同じです。減損を示す記載は、当社が確かめた注記の範囲では見当たりません。
ご相談ください
この取得の値段は、発表でなく、買い手の親会社の決算注記に出ていました。
CX BASEは、EC・小売・D2C領域の譲渡案件を扱っています。買収のご相談をいただいた企業には、条件に合う案件を公開前にご案内します。
買収をお考えの方へ
→ 案件を見る
→ 買収の相談をする
売却をお考えの方へ
→ 売却の相談をする
出典
- 株式会社SODA「「スニダン」運営のSODAがKREAMとの戦略的パートナーシップを構築。APAC最大のファッション・コレクティブ マーケットプレイスへ。」(2023年10月4日公表・PR TIMES掲載・2026年10月16日確認)
- NAVER Corp. ニュースリリース(KREAMとSODAの事業統合・2023年10月4日公表・NAVER公式サイト・2026年10月16日確認)
- NAVER 連結財務諸表の監査報告書 第26期(2024年12月期。第25期を比較表示)・第27期(2025年12月期)(NAVER公式サイト・2026年10月16日確認)
- 株式会社SODA ニュースリリース(2021年1月14日・2021年7月29日公表・PR TIMES掲載・2026年10月16日確認)
- 株式会社東京通信グループ「当社出資先の株式会社SODAへSoftbank Vision Fund 2から出資に関するお知らせ」(2021年12月2日公表・2026年10月16日確認)
- SODA inc. 公式note(代表取締役のインタビュー・2026年7月3日公表)・FACT BOOK(2025年10月23日公開)・公式サイト(soda-inc.jp)(いずれも2026年10月16日確認)
(取得の対価・のれん・純資産はNAVER連結財務諸表の注記34の記載で、ウォン建てです。円換算・比率・100%換算・倍率は当社の計算で、円換算は各年末の換算(2023年末1円=9.13ウォン、2024年末9.36ウォン、2025年末9.18ウォン)による試算です。評価額530億円は優先株式ベースで、払った代金ではありません)