アフラに1.8億円 ── 営業利益2,100万円の会社を、リベルタはのれん1.3億円・5年償却で買った
| 発表日 | 2024年2月13日(株式譲渡実行 2024年2月16日) |
| 譲受企業 | 株式会社リベルタ(東証スタンダード 4935) |
| 譲渡企業 | 株式会社アフラ(2007年2月設立・東京都港区虎ノ門) |
| 事業 | エステ向け化粧品の企画開発・OEM/ODM |
| 譲渡価額 | 1億8,000万円(240株・議決権100.0%) |
| スキーム | 株式譲渡 |
| 出典 | リベルタ 適時開示(2024年2月13日) |
(出典:株式会社リベルタ 公式サイト・2026年10月15日時点の画面)
譲渡企業の概要
アフラは、売上3億円台・営業利益2,100万円の、エステ向け化粧品の開発会社。2007年2月設立で、本社は東京都港区虎ノ門。代表取締役が株式の100.0%を保有していました。事業は化粧品と健康・美容関連商品の企画開発・製造販売で、開示は「企画提案型のOEM・ODM」(他社ブランドの商品を企画から請け負う事業)と説明しています。
| 決算期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 | 2022年12月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2億7,400万円 | 3億100万円 | 3億4,200万円 |
| 営業利益 | 1,500万円 | 2,100万円 | 2,100万円 |
| 純資産 | 3,800万円 | 5,300万円 | 6,800万円 |
売上高は3期連続で増え、直近期の営業利益率は6.1%。3期とも黒字で、直近期だけ業績が伸びた会社ではありません。ただし、この表は2022年12月期で終わっています。取得を発表した2024年2月の時点で、直前の2023年12月期は開示に入っていません。
譲受企業の概要
リベルタは、美容・日用雑貨・機能衣料を企画して売る、自社工場を持たないメーカー。1997年設立で、東証スタンダードに上場しています。2023年12月期の連結売上高は70億8,700万円、営業利益は1億7,200万円、純資産は16億3,700万円。2022年4月と2023年4月にも別の会社を子会社にしており、アフラはそれに続く取得です。
M&Aの目的・背景
狙いは、エステ向けの開発力と販路を取り込み、自社の商品と相互に販売すること。開示によると、同日に公表した中期経営計画(2030年12月期に売上高300億円・経常利益20億円)の成長戦略「事業領域拡大」の一環と位置づけています。アフラの強みである「エステ向けコスメの開発・販売ノウハウ」を得て、リベルタの国内外の販路でアフラの商品を売り、成長するエステ市場へ自社の商品を広げられると説明しています。同日の決算説明資料も、商品企画力と開発力を持つファブレスメーカー(自社工場を持たないメーカー)を買う方針を掲げています。
開示は、リベルタとアフラ、売主個人の間に資本・人的・取引のいずれの関係もないと明記しています。先に協業していたトレンダーズ(しるし)とは対照的に、事前の関係がない相手を、第三者機関の評価額をもとに買った取引です。
M&Aの手法・成約内容
株式240株を1億8,000万円で取得し、議決権の100.0%を持ちました。アドバイザリー費用等の概算は1,000万円で、合計は1億9,000万円。費用は株式の代金の5.6%にあたります。取得価額は「第三者機関による株式価値評価額をもとに」決めたと開示にあり、評価の方法は書かれていません。取締役会決議と契約は2024年2月13日、株式譲渡の実行は2月16日。対価は現金です。有価証券報告書によると、取得後は売主(元代表取締役)が取締役に残り、代表取締役はリベルタの社長が兼ねています。
この値段は、どう説明できるか
営業利益の5.3年分ののれん。年買法の上限を4,900万円上回る値段。100%の取得なので、会社全体の評価額は1億8,000万円。下の表は、開示の最新期(2022年12月期)の数字で計算した列と、連結に実際に計上された額の列です。
| 項目 | 開示の最新期で計算 | 連結に計上された額 |
|---|---|---|
| 会社全体の評価額(100%) | 1億8,000万円 | 1億8,000万円 |
| うち純資産 | 6,800万円 | 4,844万円 |
| 差額(のれん) | 1億1,200万円 | 1億3,156万円 |
| 営業利益2,100万円の何年分 | 5.3年 | 6.3年 |
| 純資産の何倍 | 2.65倍 | 3.7倍 |
開示の数字で割ると、のれん1億1,200万円は営業利益の5.3年分。年買法(時価純資産+営業利益1〜3年分)は8,900万円から1億3,100万円で、1億8,000万円はその上限を4,900万円上回ります。
のれんの発生要因を、有価証券報告書は「今後の事業展開によって期待される超過収益力」と記載しています。3期の営業利益で説明できる額を超えた部分は、取得理由に挙げた開発ノウハウとエステ向けの販路への対価です。
実際に計上されたのれんと、その償却
連結ののれんは1億3,156万円で、5年の均等償却。年2,631万円が費用になる。2024年12月期の有価証券報告書の内訳から、取得日の純資産に当たる額は4,844万円(当社計算)。2023年12月期末の純資産6,333万円との間に約1,490万円の差があり、開示に理由の記載はありません。
年2,631万円の償却は、開示された最新期の営業利益2,100万円を上回ります。営業利益2,100万円が5年続いても累計は1億500万円で、のれん1億3,156万円に届きません。リベルタの側では、取得額が2023年12月期の連結営業利益1億7,200万円の約1.05年分で、純資産の11.0%。償却が通年になった2025年12月期は、連結営業利益1億3,300万円の約2割を償却が占めます。
取得後のアフラ
アフラの経常利益は、2024年12月期の9,700万円から2025年12月期は1,700万円へ下がった。数字は、リベルタが2026年10月に開示した合併の事前備置書類にあるアフラ単体の決算です。
| 決算期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3億4,200万円 | 2億6,500万円 | 2億9,300万円 | 2億900万円 |
| 経常利益 | 2,100万円 | △300万円 | 9,700万円 | 1,700万円 |
| 純資産 | 6,800万円 | 6,300万円 | 1億2,600万円 | 1億2,400万円 |
2022年12月期の経常利益は営業利益と同額。2023年12月期は取得前、2024年12月期は取得日の約1.5か月前から始まる期、2025年12月期は取得後の通期です。2025年12月期の売上高は前期比28.6%減、営業利益は1,600万円。販売費及び一般管理費5,863万円のうち、役員報酬が39%、業務委託費が34%を占め、従業員は「なし」。総務・経理はリベルタに委託されていました。
2026年9月15日、リベルタはアフラの吸収合併を決議しました。効力発生は2026年12月1日の予定で、取得から約2年9か月です。理由は、意思決定の迅速化、管理コストの削減、グループ内の重複機能の解消。リベルタは2023年4月に取得したフジアンドチェリーも、2024年8月に吸収合併しています。
買い手が読み取れること
小さな買収は、価格より償却期間が損益を決める。リベルタは5〜10年で償却する方針で、のれんの償却は5年なら年2,631万円、10年なら年1,316万円。価格の交渉とは別に、償却を含めた利益計画をつくってから金額を決めます。
開示の3期表は、直近の1期前で止まっていた。2022年12月期の次の2023年12月期は、後の書類で売上約2割減・経常赤字と分かります。純資産も決算期末から実行日までに動き、価格が固定のまま下がれば、のれんが同額ふくらんで5年で費用になります。基準日と実行日の純資産を比べて価格を調整する条項を入れておきます。
従業員のいない会社を買うなら、価値は人・取引・権利の3つに分かれる。開示に取引先別の売上、主要顧客との契約、処方や商標の帰属、製造の委託先は書かれていません。OEM/ODMは、処方と商標が誰のものかで買った会社の中身が変わります。当社が公表された小型の買収を買収後の数字まで見た範囲では、売主や看板が残った買収は伸び、離れた買収は沈みます。売主が取締役に残る期間と契約の引き継ぎは、契約前に決めます。在庫は2025年12月末で3,356万円、売上原価の約91日分と軽く、取得時点の在庫は開示にないため、品番ごとの最終販売日と使用期限を確かめます。
買った後の成果は、子会社単体では測れない。当社(CommerceX M&A)は、買収先のここを、自社のこの力で、こう伸ばせると一文で言い切れるかを、買収検討の最初に確かめます。リベルタの場合は、エステ向けの開発力と販路を、自社の量販店・海外の販路と相互に使って伸ばす、の一文です。実際に2024年9月から、サロンだけで売っていたアフラの製品を量販店の販路で売り始めています(決算説明資料)。当社が公表された買収を買収後の数字まで見た範囲では、伸びた買収は買い手が自社の販路や運営の型を持ち込んでいます。ただ、アフラの量販店向けの売上は連結のコスメに含まれ、アフラ単体の売上は2025年12月期に28.6%減りました。成果は、子会社の売上と、親会社の販路別の売上の両方で確かめます。
よくある質問
Q. 営業利益2,100万円の会社に1億8,000万円は、高いのですか。
A. 営業利益の8.6年分、のれんで見ると5.3年分です。年買法の上限1億3,100万円を4,900万円上回ります。高いかどうかは、エステ向けの販路と開発力を、買い手が自社の販路でどこまで伸ばせるかで決まります。
Q. のれん約1億3,156万円を5年で償却すると、買い手の利益はどうなりますか。
A. 年2,631万円が毎年の営業利益を減らします。リベルタの2025年12月期の連結営業利益1億3,300万円に対して、約2割です。償却は会計上の費用で、現金は出ていきません。10年で償却すれば年1,316万円です。
Q. 従業員のいない小さな会社を買うとき、何を確かめますか。
A. 人・取引・権利の3つです。売主が取締役に残る期間、主要な取引先との契約の引き継ぎ、処方や商標の帰属と製造の委託先を、契約前に確かめます。人に宿る価値は、契約で残る形にします。
Q. 2億円未満の譲渡案件は、どこで見つかりますか。
A. 公表されるのは、買い手が上場企業で、開示した取引に限られます。開示の対象にならない譲渡は、公表されないまま成立します。CX BASEでは、買収のご相談をいただいた企業へ、条件に合う譲渡案件を公開前にご案内しています。
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小さな買収は、価格より償却期間と直近期の数字が損益を決めます。
CX BASEは、EC・小売・D2C領域の譲渡案件を扱っています。買収のご相談をいただいた企業には、条件に合う案件を公開前にご案内します。
売却をお考えの方は、直近期の決算と純資産の見通しをもとに、買い手が見る数字をご説明します。
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出典
- 株式会社リベルタ「株式会社アフラの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」(2024年2月13日公表・2026年10月15日確認)
- 株式会社リベルタ「2023年12月期通期決算説明資料」(2024年2月13日公表)、「2024年12月期通期決算説明資料」「2024年12月期 決算短信」(いずれも2025年2月14日公表)(2026年10月15日確認)
- 株式会社リベルタ「有価証券報告書 第29期(2024年12月期)」(2025年3月27日提出)、「同 第30期(2025年12月期)」(2026年3月31日提出)(2026年10月15日確認)
- 株式会社リベルタ「連結子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ」(2026年9月15日公表)、「法定事前開示書類(合併)(株式会社アフラ)」(2026年10月7日公表)(2026年10月15日確認)
(金額は株式の代金1億8,000万円です。アドバイザリー費用等の概算1,000万円を含む総額は1億9,000万円。取得比率100.0%のため換算していません。財務数値は決算書ベース(利益修正前)。「開示の最新期で計算」の列は、2022年12月期の純資産6,800万円と営業利益2,100万円による当社試算。「連結に計上された額」の列のうち、のれん1億3,156万円は有価証券報告書の数字、純資産4,844万円は取得原価1億8,000万円からのれんを除いた当社計算です)