EC・D2Cは、いま高く売れるのか ── のれん1.3〜10.2年分、差を作るのは業種ではない
「D2Cはもう厳しいのでは」「いま売っても買い叩かれるのでは」。この1年、売却のご相談で最も多く聞かれる不安です。
上場しているD2C企業の株価を見れば、その不安は当然です。2020年から2022年に上場した銘柄は、ピークから9割前後下げています。
ただ、実際に成立した取引を1件ずつ調べると、別の姿が出てきます。
この記事の結論は次の4つです。
- 売っている人は、増えています。卸売業・小売業の中小M&Aは2022年度562件から2024年度792件へ。2年で41%増えました
- 「D2Cは終わった」わけではありません。下げたのは2020〜22年に上場した第一世代の株価で、上場10社のうち6社は直近で上げています
- 利益が出ている会社は、営業利益の1.3年分から10.2年分(実測8件・中央値5.0年**)。利益がまだ小さい会社は、伸びていれば純資産の7〜13倍**で売れています
- 同じ業種の中でも、高いほうと安いほうで3.7倍開きます。差を作っているのは業種ではなく**、あなたの会社を本気で欲しがる買い手が何社いるか**です
市場の大きさ ── コマースは中小M&Aの16%
卸売業・小売業は、中小M&Aの譲渡側4,940件のうち792件。全体の16.0%を占め、医療・福祉に次ぐ2番目の業種です。
2025年の日本企業のM&Aは5,115件で、初めて5,000件を超えました(レコフデータ)。中小M&Aに絞ると、中小企業庁の集計で2024年度の譲渡側は4,940件。業種別の内訳がこれです。
| 業種 | 2024年度の譲渡側 | 構成比 |
|---|---|---|
| 医療、福祉 | 948件 | 19.2% |
| 卸売業、小売業 | 792件 | 16.0% |
| 製造業 | 710件 | 14.4% |
| 建設業 | 550件 | 11.1% |
| 情報通信業 | 303件 | 6.1% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 300件 | 6.1% |
EC支援・ECシステムの会社は情報通信業に分類されるため、コマース領域の実際の比率はこれより高くなります。
成約件数は、2年で41%増えている
卸売業・小売業の成約件数は、2022年度562件から2024年度792件へ。2年で41%増えました。「市況が悪いから取引も減っているのでは」という見方とは逆に動いています。
| 年度 | 卸売業・小売業 | 全業種 |
|---|---|---|
| 2022年度 | 562件 | 4,036件 |
| 2023年度 | 652件 | 4,681件 |
| 2024年度 | 792件 | 4,940件 |
卸売業・小売業は2年で41%増。全業種の22%増を大きく上回ります。M&A最終契約に至った実績報告ベースなので、検討中や交渉中ではなく成約した数です。
コマース領域は、市場全体より速く増えています。
上場D2Cは、全社が下げたわけではない
上場D2C10社のうち、直近の起点から株価を上げているのは6社です。下げたままなのは4社。
「ピークからいくら下げたか」だけを見ると、ピークは定義上いつも高いので全社が下がって見えます。直近の方向もあわせて並べます。
| 銘柄 | 業種 | ピーク | 現在 | ピーク比 | 直近の起点比 |
|---|---|---|---|---|---|
| MTG(7806) | 美容・健康機器(ReFa/SIXPAD) | 2018年 8,120円 | 9,250円 | +14% | 2022年末比 +569% |
| yutori(5892) | アパレルのブランド運営 | 2025年 6,260円 | 2,642円 | ▲58% | 2023年末比 +130% |
| Aiロボティクス(247A) | 美容家電・化粧品D2C | 2025年 2,146円 | 1,080円 | ▲50% | 2024年末比 +71% |
| BASE(4477) | ECプラットフォーム | 2020年 3,448円 | 316円 | ▲91% | 2022年末比 +34% |
| TENTIAL(325A) | リカバリーウェア(BAKUNE) | 2025年 2,180円 | 1,766円 | ▲19% | 2025年末比 +26% |
| Hamee(3134) | スマホアクセサリーEC | 2020年 1,176.7円 | 318円 | ▲73% | 2022年末比 +1% |
| ベースフード(2936) | 完全栄養食D2C | 2022年 824円 | 272円 | ▲67% | 2022年末比 ▲29% |
| I-ne(4933) | ヘアケア・美容家電(BOTANIST) | 2023年 4,060円 | 1,477円 | ▲64% | 2022年末比 ▲50% |
| 北の達人(2930) | 化粧品・健康食品D2C | 2018年 1,105円 | 133円 | ▲88% | 2022年末比 ▲52% |
| プレミアアンチエイジング(4934) | 化粧品D2C(DUO) | 2021年 19,190円 | 593円 | ▲97% | 2022年末比 ▲61% |
(現在値はいずれも2026年8月28日終値)
ピークからのプラスは1社だけですが、直近の起点からは6社が上げています。
なお、この表を作った直後の2026年8月28日、BASEにSBIホールディングスの子会社からTOBが入りました。1株340円で上限20.00%、期間は8月31日から9月30日。BASEは賛同かつ応募中立を表明し、同時にSBIホールディングスと資本業務提携を締結しています。8月31日の株価は単日で18%超上げました。
「第一世代は下げたまま」と書いた銘柄が、いま買われる側になっています。SBIが取得の対象にしているのは利益ではなく、BASEの決済基盤・加盟店ネットワーク・IDです。買い手はEC企業でも事業会社でもなく、金融でした。
なかでもMTGが象徴的です。2018年の上場年に8,120円をつけた後、2019年には754円まで沈みました。9割超の下落です。そこから戻して、2026年8月に9,250円と上場来高値を更新しています。一度崩れた会社が立て直した実例です。
一方、プレミアアンチエイジングは2021年7月の19,190円から現在593円。1年で84%下げた2022年を含め、いまも戻っていません。
終わったのはD2Cという業態ではなく、2020〜22年に上場した第一世代につけられた値づけです。新しく上場した会社には値がついていますし、立て直した会社もあります。
事業承継型とEC・D2Cは、値づけの原理が違う
事業承継型は純資産を土台に値がつき、EC・D2Cは成長に値がつきます。同じ中小M&Aという言葉でも、母集団が違います。
中小M&Aの相場として語られるのは、年買法(時価純資産+営業利益1〜3年分)です。ただしこの相場は、事業承継型の会社を主体にした数字。後継者がいない、歴史がある、純資産が厚い。そういう会社が母集団の大半を占めます。
EC・D2Cは違います。創業から浅く、純資産が薄い。買い手は事業の継続ではなく成長を買いに来る。この違いは公表データに出ています。
次の表のPBRは、譲渡価額が純資産(会社に残っている正味の財産)の何倍だったかという意味です。1倍なら、財産の額そのままで売れたということ。
| 業種(中分類) | PBR中央値 |
|---|---|
| インターネット附随サービス業 | 7.0倍 |
| 情報サービス業 | 2.3倍 |
| 飲食料品小売業 | 2.0倍 |
| その他の小売業 | 1.3倍 |
| 職別工事業 | 1.0倍 |
| 各種商品小売業 | 0.8倍 |
| 金属製品製造業 | 0.8倍 |
全業種の中央値は1.3倍。インターネット附随サービス業の7.0倍は、その5倍以上です。純資産の7倍で売れているということは、純資産法が機能していないということ。対して建設業・製造業は0.8〜1.2倍で、こちらは純資産法の世界です。
のれんは、純資産の何倍つくか
インターネット附随サービス業では、純資産の6.0倍ののれんがついています。各種商品小売業では、のれんがつきません。
ここまでの数字は、当社(CommerceX M&A)が集めた事例ではなく公的統計です。譲渡価額が純資産の何倍か(PBR)が分かれば超えた分がそのままのれんになるため、仮定を一切置かずにのれんの大きさが出ます。
| 業種(中分類) | PBR中央値 | のれん÷純資産 | サンプル |
|---|---|---|---|
| インターネット附随サービス業 | 7.0倍 | 純資産の6.0倍 | 27件 |
| 情報サービス業 | 2.3倍 | 純資産の1.3倍 | 123件 |
| 飲食料品小売業 | 2.0倍 | 純資産の1.0倍 | 48件 |
| その他の小売業 | 1.3倍 | 純資産の0.3倍 | 102件 |
| 卸売業・小売業(全体) | 1.2倍 | 純資産の0.2倍 | 461件 |
| 各種商品小売業 | 0.8倍 | のれんがつかない | 34件 |
各種商品小売業はPBR0.8倍で、純資産すら下回ります。同じ「中小M&A」の中に、のれんが6倍つく世界と、まったくつかない世界が同居しています。
利益が出ている会社は、営業利益の何年分か
実測8件で、のれんは営業利益の1.3年分から10.2年分。中央値は5.0年分です。
上場企業の適時開示から、対象会社の営業利益と純資産を1件ずつ拾って計算しました。株式の取得価額のみを使い、アドバイザリー費用は除いています。
| 対象(買い手) | 事業 | 株式の取得価額 | 比率 | 純資産 | 営業利益 | 年数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ジャパンギャルズ(BRUNO) | 美容機器の製造販売 | 3,000百万 | 100% | 1,418百万 | 155百万 | 10.2年 |
| BJC(Aiロボティクス) | 化粧品・美容商材 | 25,550百万 | 100% | 4,205百万 | 3,071百万 | 7.0年 |
| heart relation(yutori) | アパレルD2C「Her lip to」 | 1,683百万 | 51% | 1,175百万 | 307百万 | 6.9年 |
| アフラ(リベルタ) | エステ向け化粧品 | 180百万 | 100% | 68百万 | 21百万 | 5.3年 |
| MISM(AnyMind) | 縦型動画クリエイティブ | 640百万 | 100% | 94百万 | 117百万 | 4.7年 |
| アールケイエンタープライズ(コメ兵HD) | ブランドリユース | 4,200百万 | 100% | 2,609百万 | 481百万 | 3.3年 |
| ジョシュアツリー(ピアラ) | 広告代理 | 200百万 | 100% | 37百万 | 57百万 | 2.8年 |
| ピコモンテ・ジャパン(粧美堂) | 化粧品OEM受託 | 400百万 | 52% | 505百万 | 202百万 | 1.3年 |
事業承継型の相場は1〜3年分。利益の出ているEC・コマース企業は、その水準を上回ります。
※8件はいずれも適時開示の原本で確認したものです。取得比率が100%でない場合は100%換算しています。数字は決算書ベースの営業利益(利益修正前)に対する年数です。
※この表の金額は株式の代金だけを取り出しています。適時開示では、これにアドバイザリー費用を足した総額が併記されていることが多く、報道はそちらを使います。同じ取引でも記事によって金額が違って見えるのはこのためです(例:ジャパンギャルズは株式30.00億円、費用込みの総額30.10億円)。
※年数は、発表時に開示された最新期の純資産で計算しています。買い手が連結に計上したのれんで割ると、ジャパンギャルズは9.7年分(のれん15.1億円)、ピコモンテ・ジャパンは0.25年分相当(のれん2,666万円。取得日までに純資産が約2.1億円増えていたため)です。
heart relationは、利益が半減しているのに6.9年ついた
営業利益は3期で580 → 568 → 307百万円と半減しています。それでものれんは営業利益の6.9年分。yutoriは2026年4月に残る49%を約19億6,000万円で取得しており、1株あたりの評価は1回目より2回目のほうが高い(約3.3万円→約4.0万円)。
利益が落ちていても、代替が効かなければ値段はつきます。「Her lip to」は小嶋陽菜氏という替えのきかない資産を持っており、yutoriにとってほかに買えるものがありませんでした。
高い値段がついた後、何が起きたか
表の2行目にあるBJCは、のれんは約216.3億円(暫定・15年償却。第1四半期短信の残高と償却額から当社が逆算)がついた取引です。買ったAiロボティクスは、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)にBJCを連結した最初の四半期を迎え、売上110.75億円に対して営業損失5.31億円を計上しました。会社の説明では、主因は卸向け販売への切り替えの投資で、のれん償却3.6億円とM&A関連費用2.4億円もこの四半期に入っています(2つの合計は営業損失より大きい額です)。
同社は通期の連結予想(売上560〜600億円、営業利益75〜100億円)を据え置いており、この赤字が通期の姿とは限りません。ただ、高い値段がつくことと、買った後に伸ばすことは別で、連結した直後の四半期には、こうした費用が先に出ます。
売り手にとっては、買い手を選ぶ材料でもあります。高い評価を出してくれる会社が、買った後に伸ばせる会社とは限りません。
利益が小さい会社は、この計算が使えない
D2CとEC支援の買収対象は、利益がまだ小さい成長企業が多い。その場合、営業利益で割る計算そのものが機能しません。
当社が確認した範囲でも、次のようになりました。
| 対象(買い手) | 事業 | 営業利益 | 年数の計算結果 |
|---|---|---|---|
| ECスタジオ(ジェイフロンティア) | 化粧品・サプリD2C | 10百万円 | 154年 |
| メグリ(ソフトクリエイトHD) | 店舗アプリSaaS | 33百万円 | 68.7年 |
| ウェルヴィーナス(ジェイフロンティア) | サプリ・化粧品D2C | 56百万円 | 36.6年 |
| マガシーク(ジェイドグループ) | ファッションEC | 53百万円 | 15.3年 |
154年で回収する買い手はいません。これは高く買われたという意味ではなく、利益がまだ小さいので営業利益で測れないという意味です。
そういう会社は、純資産の何倍で売れたか(PBR)で見ます。
| 対象 | 事業 | 状況 | PBR |
|---|---|---|---|
| ウェルヴィーナス | サプリ・化粧品D2C | 売上2年で52%成長 | 12.7倍 |
| メグリ | 店舗アプリSaaS | 売上599→704百万円 | 10.6倍 |
| シッピーノ | EC出荷自動化 | 成長中 | 7.1倍 |
| ECスタジオ | 化粧品・サプリD2C | 成長中 | 6.6倍 |
| マガシーク | ファッションEC | 横ばい・利益ほぼゼロ | 1.23倍 |
| RECLO(コメ兵HD) | 中古ブランドEC | 営業赤字3.02億円 | 1.39倍(発表時の純資産では0.40倍) |
成長していれば純資産の7〜13倍。していなければ、赤字の会社も含めて1倍前後。
この分かれ方は、公的統計とも一致します。中小企業庁のPBR中央値は、インターネット附随サービス業が7.0倍(27件)、各種商品小売業が0.8倍(34件)。成長している領域と、そうでない領域で、はっきり分かれています。
あなたの会社は、どちらの表で語られるか
営業利益が1億円を超えているなら、上の「年数」の表で見られます。中央値5.0年が目安です。
営業利益がまだ小さいなら、下の「PBR」の表です。このとき値段を決めるのは利益ではなく、売上が伸びているかどうか。伸びていれば純資産の7倍以上、止まっていれば1倍前後になります。
同じ業種の中で、上位と下位が3.7倍開く
卸売業・小売業のPERは、下位25%が5.7倍・上位25%が21.0倍。同じ業種の中で3.7倍開きます。中央値だけを見ると、この開きは見えません。
表のPERは譲渡価額が利益の何倍か、第1四分位は安いほうから4分の1の位置、第3四分位は高いほうから4分の1の位置です。
| 卸売業・小売業(2024年度) | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 | 第1→第3の開き |
|---|---|---|---|---|
| PER | 5.7倍 | 11.6倍 | 21.0倍 | 3.7倍 |
| EV/EBITDA | 3.8倍 | 7.7倍 | 14.9倍 | 3.9倍 |
| PBR | 0.7倍 | 1.2倍 | 2.2倍 | 3.1倍 |
同じ業種の中で、下位25%と上位25%が3.7倍違います。業種で決まっているなら、これほど開きません。個別の事情で決まっている証拠です。
その個別の事情とは何か。当社が支援してきた譲渡と、上の8件を並べると、答えは同じところに行き着きます。
その会社を本気で欲しがる買い手が、何社いるかです。
上の8件を、その観点で並べ直すと順序が説明できます。
- 10.2年のジャパンギャルズは、この観点では説明できない1件です。売主は買い手BRUNOの親会社で、親会社からの打診で始まった取引でした。価格は第三者算定のレンジの上限近く。連結に計上したのれん(15.1億円)で割ると9.7年分です
- 7.0年のBJCは参入障壁のあるプロ向け代理店チャネル。チャネルは一朝一夕に作れません
- 6.9年のheart relationは「Her lip to」。小嶋陽菜氏という替えのきかない資産があり、yutoriにとってほかに買えるものがありませんでした
- 5.3年のアフラはエステサロン向けの化粧品。販路が特定の業態に根を張っています
- 4.7年のMISMは縦型動画のクリエイティブ制作。買い手のAnyMindが自社に足りない機能でした
- 3.3年のアールケイエンタープライズはブランドリユース。同じリユースでも、営業利益が3期連続で下がっていました(729→705→481百万円)
- 2.8年のジョシュアツリーは広告代理。人が動かす事業は、人が抜ければ利益も抜けます
- 1.3年のピコモンテはOEM受託。発注元の判断ひとつで売上が消えます
そしてRECLOは、アールケイエンタープライズと同じリユース領域でありながら営業赤字で、連結に入れた時点の純資産の1.39倍(のれん1億146万円)でした。領域ではなく、競争を作れたかどうかで決まっています。
「利益が何で守られているか」は、それ自体が値段を上げるのではありません。守られているから代わりが見つからなくなり、その結果として複数の買い手が本気になる。値段を上げているのは、その競争状態です。
当社は査定でこれを最初の前提にしています。物差しを超える価格は、競争からしか生まれません。売り手にお見せするのは評価額の判定ではなく、いまの位置と希望額までの距離、そして距離を詰める道筋。その道筋の中心が、本気で検討する買い手を複数作ることです。
物販と支援で、どれくらい違うか
物販と支援の差は、PBRで5.4倍・PERで2.0倍・EV/EBITDAで1.3倍。指標によって差の大きさが変わります。
同じコマース領域でも、モノを売る側と仕組みを売る側では水準が違います。その違いをどの指標で測るかで、見える差の大きさが変わります。
| 指標 | その他の小売業(物販) | インターネット附随サービス業(支援) | 差 |
|---|---|---|---|
| PBR | 1.3倍 | 7.0倍 | 5.4倍 |
| PER | 12.0倍 | 23.6倍 | 2.0倍 |
| EV/EBITDA | 8.1倍 | 10.4倍 | 1.3倍 |
PBRで5.4倍も開くのに、EV/EBITDAでは1.3倍しか開きません。
PBRの差は、純資産の厚みの差です。物販は在庫と設備で純資産が積み上がりますが、支援系は積み上がりません。同じ値段でも純資産で割れば支援系の倍率が跳ね上がる。この差の大部分は、支援系が高いことではなく、物販側の分母が厚いことから生じています。
EV/EBITDAで差が縮むのは、物販側の借入のためです。EVは譲渡価額に有利子負債を足した数字。物販は在庫と運転資金で借入を持つので、EVが膨らんで倍率が押し上がります。
PERは株主が受け取る額を利益で割った素直な倍率であり、実態にいちばん近いのはこのPERの2.0倍差です。
なお、当社の実測8件では物販のほうがのれん年数が長く出ましたが、物販側に営業利益4.5億円以上の大型が偏っており、規模の影響と業態の影響を分けられません。サンプルが増えるまで、業態別の水準は出さないでおきます。
「EBITDA7.7倍」を鵜呑みにしない
統計の7.7倍と、買い手が口にする3〜5倍は、分母も分子も違う数字です。同じ「EBITDA倍率」という名前でも、そのまま比べられません。
中小企業庁の統計には、卸売業・小売業のEV/EBITDA中央値7.7倍という数字が出ています。現場で買い手が口にする水準は、多くの場合EBITDAの3倍から5倍です。
ひとつは、分母が修正前の利益であること。中小企業庁の定義は「営業利益+減価償却費」で、利益修正には触れていません。中小企業の決算書の営業利益は、役員報酬や節税目的の費用が乗った後の数字です。
もうひとつは、分子が譲渡価額ではなくEVであること。EVは譲渡価額に有利子負債を足し、現預金を引いた数字です。
買い手が言う「EBITDAの5倍まで」は、利益修正後の利益に対する、譲渡価額の倍率。分母も分子も違うものを比べても意味がありません。事例の倍率は、分母が修正前か修正後か、分子が譲渡価額かEVかで意味が変わります。
何が起きたのか ── 特需と、その後始末
特需で上がった成長率を前提に値がつき、特需が終わって値づけが剥がれました。借入で数を買い集めるロールアップが行き詰まったのも、同じ時期です。
2020年から2021年のEC特需。巣ごもりでEC需要が跳ね、D2C企業の成長率が急に上がりました。上場市場はその成長率が続く前提で値をつけ、プレミアアンチエイジングは上場から半年で株価が2倍以上に。
ECロールアップの登場と挫折。Amazonの小規模ブランドを大量に買い集めて運営を効率化する発想の会社が世界中に生まれました。最大手のThrasioは34億ドルを調達し、企業価値100億ドルの評価を受けています。しかし2024年2月28日、Chapter 11を申請しました。4億9,500万ドルの債務を削減し、同年6月に貸し手主導で再建。原因は、特需の終焉、EC成長の鈍化、在庫の滞留、そして過剰な借入でした。
日本のロールアップは、会社によって分かれました。Thrasio型を掲げた会社は国内にもありますが、進み方は同じではありません。
数を追った側は、絞り込みました。いつもは2021年4月に「数年で200ブランド」「M&A資金30億円程度」を公表し、受け皿として同年6月に子会社いつもコマースを設立しました。2022年1月時点の取得は8ブランド。その子会社は2023年10月に本体へ吸収合併され(理由は「経営資源の集中と組織運営の効率化」)、2026年3月期でブランド保有にあたる区分は売上178.78億円のうち14.22億円、全体の8.0%です。主力は受託支援(73.2%)に戻りました。ACROVEも2025年11月に、子会社の顧問バンクを7億3,000万円でBoost Capitalへ売却しています。
1件ずつ伸ばす側は、続いています。MOON-Xは「共創型M&A」を掲げ、買収後もブランドの独立性を残す形をとっています。2024年10月にシリーズCで総額76.4億円の調達を発表。ケラッタ(ベビー・マタニティ、2022年)、太陽(「ヒツジのいらない枕」、2023年)、猫壱(猫用品、2023年)と組み、いずれも統合後に伸ばしたと公表しています。
分かれ目は、買った後に伸ばせたかどうかです。借入で数を集める形は続かず、1件ずつ伸ばす形は続いている。Thrasioが躓いたのも数ではなく、借入でした。
売り手にとっての意味はこうです。「ECブランドを買う専門の買い手」は消えていませんが、数は絞られました。買い手候補として名前が挙がった会社がいまも実際に買っているかは、直近の開示や資金調達で確かめる価値があります。あわせて、ロールアップ企業に売る場合はその先でもう一度売られる可能性も判断に含めておく。従業員や取引先に何を約束できるかは、買い手の型によって変わります。
なお、yutoriはロールアップ企業ではありません。自社ブランドを運営しながらheart relationを取得したブランドポートフォリオ企業で、小規模ブランドを大量に集めるモデルとは別物です。
ここから何が起きるか
買い手の選別が進みます。Thrasioの破綻が示したのは、借入で買い集めるだけでは回らないということでした。売り手にとっては、「買った後にどう伸ばすつもりか」を説明できる買い手を選べる局面です。
事業会社による買収は増えます。カインズがDIY用品のECを運営する大都を、江崎グリコが冷凍宅配食のGreenspoonを、ロッテがチョコレートD2CのDari Kを、エステーが香りのD2Cのコードミーを、加和太建設(静岡の建設会社)がカレーブランド「6curry」の事業を取得しました。リアルの事業を持つ会社が、ECとブランドを買って自社に足す動きは、特需とは無関係に続きます。
数億円で売れている会社は、どんな会社か
上場企業が引き継いだ、EC・ブランド・EC支援の会社です。当社が金額を一次情報で確認できた68件のうち、1〜10億円が24件でもっとも多い価格帯でした。
| 譲渡価額 | 買い手 → 対象 |
|---|---|
| 1.02億円 | エニグモ → MEGURU |
| 1.07億円 | フィードフォースグループ → ECPower |
| 1.90億円 | コメ兵ホールディングス → Rs-JAPAN |
| 2.00億円 | ジェリービーンズグループ → MAKE BEAUTURE |
| 3.00億円 | クラシコム → foufou事業の承継会社 |
| 3.58億円 | コメ兵ホールディングス → RECLO |
| 3.88億円 | シンシア → タロスシステムズ |
| 6.15億円 | フィードフォースグループ → フラクタ |
| 6.40億円 | AnyMind Japan → MISM |
| 8.60億円 | アクシージア → ユイット・ラボラトリーズ |
| 9.50億円 | ライスカレー → 松村商店 |
いずれも上場企業が数億円で会社や事業を引き継いでいます。買い手にとって数億円は、社運を左右する金額ではありません。判断が早く進むため、この価格帯の取引は数として多くなります。
天井はどこにあるか
天井を決めるのは、買い手の回収年数と、対象会社の規模の2つです。
買い手の回収年数が天井を決めます。10.2年がついたジャパンギャルズは営業利益1.55億円、7.0年のBJCは30.7億円、6.9年のheart relationは3.07億円。利益の規模があってはじめて、長い年数が通ります。
天井に届いた後の詰め方も、当社の型として定めています。買い手はのれんの倍率に自社の規律を持っていて、そこは動きません。動くのは総額の組み方のほう。固定の代金で引き受けられない部分を、取得後の利益に連動する後払いへ振り替える。倍率を崩さずに総額を売り手の希望へ近づける方法があります。
規模が小さいほど倍率は下がります。中小企業庁のPER中央値は、対象会社の純資産規模で明確に変わります。
| 対象会社の純資産 | PER中央値 |
|---|---|
| 5百万〜1千万円 | 8.0倍 |
| 5千万〜1億円 | 10.1倍 |
| 1.5億〜2億円 | 13.3倍 |
| 3億〜5億円 | 14.9倍 |
| 5億円超 | 14.2倍 |
5百万円規模と3億円規模で、倍率が2倍近く違います。
そして、倍率を上げるより利益を伸ばすほうが確実です。営業利益3,000万円の会社が、のれんを3年分から5年分に引き上げても、増えるのは6,000万円。一方、営業利益を5,000万円まで伸ばせば、3年分のままでも6,000万円増えます。規模が大きいほど倍率も上がるため、利益を伸ばせば金額が増え、倍率も同時に上がります。
高く売るために、何をすればよいか
やることは「あなたを欲しがる会社を複数作る」の一点です。上位25%と下位25%を分けるのが競争状態である以上、次の5つはすべてその手段になります。
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他社が代われないものを持つ。他社が入れないチャネル、価格で戦わなくてよいブランド、切り替えコストの高い仕組み。heart relation(「Her lip to」)が上位だったのは、ほかに買えるものがなかったからです。
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顧客と直接つながる。発注元が契約を切れば消える収益は、買い手にとって読みにくくなります。自社の顧客との関係をどれだけ自分で持っているかです。
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読める収益を作る。定期購入、リピート、法人契約。来月の売上が読める構造は、在庫を回して稼ぐ構造より高く評価されます。
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利益修正を正しく積む。決算書の営業利益ではなく、引き継ぎ後に残る利益で評価してもらう。ただし実態より良く見せる方向の修正は、買い手の調査で必ず崩れます。
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数字を見えるようにする。商品別・チャネル別の売上と利益を出せる状態にしておく。調査が早く進み、値引きの材料が減ります。
売却を考えている方が、いま取るべきこと
1社としか話していない状態で、価格交渉に入らない。これが最上位です。上位25%と下位25%の3.7倍の差は、事業の良し悪しだけでは生まれません。買い手が1社しかいない状態では、その1社の言い値になります。複数の買い手に同時に検討してもらう設計が、価格そのものを作ります。
自社の現在地を数字で知る。相場を事例から逆算することはできません。公表されている取引は市場のごく一部で、上場企業による買収に偏っています。自社の修正後利益から評価を出すのが唯一の方法です。
希望額と実勢が離れているときの伝え方も、当社の規律として定めています。売り手の希望額を「割高」とは言いません。当社が使うのは「乖離大」。実勢との距離があるという事実であって、売り手の判断が間違っているわけではない。距離を数字で示したうえで、詰める道筋を一緒に作ります。
買い手が実在するかを確かめる。当社が集めた195件の買い手は154社。うち26社が2件以上を買っています。自社と同じ商売をしている会社、自社が持つ機能を欲しがる会社が実際にいるのかは、公表実績から確認できます。
売る範囲は、その後に決める。全部を一度に売る必要はありません。yutoriによるheart relationの取得は2024年8月に51%を17億円、2026年4月に残る49%を約19億6,000万円。フィードフォースグループによるECPowerの取得は84.8%を1億700万円で取得し、翌月の株式交換で完全子会社化しています。一部を売って買い手の資金と仕組みで伸ばし、伸びた後の株価で残りを売る形が実在します。
伸びているなら、2年分で手放す理由はありません。実測8件の中央値は5.0年分です。
買い手は、何を考えているか
買い手が見ているのは、提示できる価格ではなく、買った後に伸ばせるかどうかです。ここから先は買い手に向けた内容で、売却をお考えの方には交渉相手の基準として読めます。
EC・D2Cに年買法をそのまま持ち込まない。純資産が薄い会社に純資産法を当てても、売り手は納得しません。実勢はのれん3年分以上。事業承継型の感覚で提示すると、検討の対象にも入りません。
競争になる前提で臨む。上位25%の取引には、必ず複数の買い手がついています。「なぜ自社なのか」を価格以外で説明できない限り、価格だけの比較になります。
買った後の四半期まで見られています。BJCを255.5億円で取得したAiロボティクスは、連結初の四半期が営業損失5.31億円でした(会社の説明では、主因は卸向け販売への切り替えの投資)。売り手も投資家も、その後の数字を見ています。
回数を重ねるほど、うまくなります。当社が集めた195件の買い手154社のうち、26社が2件以上を買い、その26社で67件(全体の34%)を占めます。コメ兵ホールディングス、BuySell Technologies、フィードフォースグループ、ジェイドグループ、ジェイフロンティアはいずれも4件。1件目で完璧を目指すより、続けられる規模で始めて型を作るほうが、結果として遠くまで行けます。Thrasioが躓いたのは回数ではなく、借入で買い集めた点でした。
売り手はあなたを選んでいます。アクセルマークが2026年2月に完全子会社化したウェルネスモアラボラトリーズを約1か月後の3月に同社の代表取締役へ譲渡した例があります(個別の事例記事)。買った会社をこれまでどう扱ってきたかは、価格と同じくらい見られています。
競合は同業とは限りません。EC・D2Cを買っているのはEC企業だけではなく、カインズ(ホームセンター)、江崎グリコ、ロッテ、加和太建設(静岡の建設会社)も取得しています。同業だけを想定した価格では、異業種の事業会社の提示額に届きません。自社が異業種であってもEC・D2Cの買い手になれる、ということでもあります。
この記事のまとめ
- 成約件数は2年で41%増(卸売業・小売業、562→792件)。市場全体の22%増を上回る
- 上場10社のうち6社は直近で上げている。終わったのは第一世代の値づけであって、D2Cという業態ではない
- EC・コマースの値づけは事業承継型と別の原理。インターネット附随サービス業のPBRは7.0倍
- 利益が出ていれば営業利益の1.3〜10.2年分(実測8件・中央値5.0年)。利益が小さければ、成長を条件に純資産の7〜13倍
- 利益がほぼゼロの会社では指標が壊れ、赤字だと純資産割れもある
- 同じ業種でも上位25%と下位25%が3.7倍開く。差を作るのは、本気で検討する買い手が何社いるか
- 天井は買い手の回収年数と、対象会社の規模
よくある質問
Q. 営業利益の3倍と言われました。妥当ですか。
A. 実測では、のれんが営業利益の1.3年分から10.2年分まで開きました。中央値は5.0年分です。3倍という提示が妥当かどうかは、いま何社が本気で検討しているかによります。1社としか話していないなら、その提示が上限になります。
Q. 結局、いまは売り時ですか。
A. 成約件数は増えています。判断すべきは市況ではなく、自社の利益が来年伸びるかどうかです。伸びる見込みがあるなら待つ、頭打ちなら早いほうがよい、という順番になります。
Q. 純資産が薄いと不利ですか。
A. EC・D2Cでは不利になりません。純資産の7倍で売れている業種があります。ただし赤字の場合は、純資産すら割ることがあります。
Q. 赤字でも売れますか。
A. 売れることがあります。化粧品D2CのMAKE BEAUTUREは、直近期が売上84百万円・営業利益△14百万円・純資産△66百万円という状態で、2025年10月にジェリービーンズグループへ2億円で引き継がれました。SNSとライブ配信での販売力が、買い手の靴事業にないものだったためです。
一方、営業赤字3億円のRECLOは3.58億円で、連結に入れた時点の純資産の1.39倍でした。赤字は「売れない」という意味ではなく、金額の増減の幅が大きくなるという意味です。分かれ目は、買い手が自社に持っていないものを、あなたが持っているかどうかです。
ご相談ください
この記事の結論は「上位25%と下位25%を分けるのは、本気で検討する買い手が何社いるか」でした。買い手を何社作るかは、設計できます。
売却をお考えの方へ。当社はEC・コマース事業の企業価値査定を無料で行っています。事例の金額ではなく、自社の修正後利益から実勢の評価をお出しします。そのうえで、公表実績にもとづいて買い手候補を洗い出し、複数社に同時に検討してもらう形を設計します。誰に当てるかは、必ず売り手が決めます。売る・売らないを決める前の段階からご相談いただけます。
買収をお考えの方へ。当社が把握している195件は、市場のごく一部です。中小M&Aの卸売業・小売業は2024年度で792件、同じ年に当社が公表情報から拾えたのは36件です。表に出ない取引に届くかどうかが、買い手の力になります。どんな会社を、どの水準で探しているかをお聞かせいただければ、条件に合う売り手が現れた段階でご連絡します。
売り手にも買い手にも、まず現在地を数字で確かめるところからお手伝いします。
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出典
- 取引件数・金額:当社集計195件(2014年〜2026年8月に公表、公式発表・適時開示で確認)。集計日2026年8月30日
- のれん年数:上場企業の適時開示から対象会社の営業利益・純資産を取得し当社が算出(8件)
- 連結に計上されたのれん・純資産(ジャパンギャルズ・ピコモンテ・ジャパン・RECLO):BRUNO・粧美堂・コメ兵ホールディングスの有価証券報告書の企業結合注記
- 市場全体の件数:レコフデータ(2025年1〜12月、公表ベース)
- 中小M&Aの成約件数・倍率:中小企業庁「登録支援機関を通じた中小M&Aの集計結果」2022〜2024年度。2026年8月30日確認
- 株価:日経電子版「過去10年間の株価推移」2026年8月28日終値
- BASEのTOB:同社適時開示(2026年8月28日)
- Aiロボティクスの四半期:同社「2027年3月期第1四半期決算短信」(2026年8月14日)、同決算の質疑応答の要約。BJCの取得:同社適時開示(2026年3月27日)。2026年10月16日確認
- MAKE BEAUTURE:ジェリービーンズグループ適時開示(2025年10月10日)
- ウェルヴィーナス:ジェイフロンティア適時開示(2024年2月29日)。67%を15億40万円(取得の対価。有価証券報告書)、対象会社の営業利益56百万円・純資産176百万円
- ACROVEの子会社売却:2025年11月の公表報道
- MOON-X:シリーズC資金調達の発表(2024年10月10日)
- いつものブランド事業:同社プレスリリース(2021年4月)、いつもコマース吸収合併の適時開示(2023年7月14日、効力発生2023年10月1日)、2026年3月期のサービス区分別売上
- Thrasio:同社Chapter 11申請(2024年2月28日)に関する報道
- 価格の考え方(買い手を複数作る設計・のれんの倍率規律と後払いへの振り替え・実勢との距離の表し方):当社のEC・D2C売却支援における実務基準
(本記事は公表情報にもとづく市場の分析であり、個別の評価額を保証するものではありません)
(2026年10月16日:RECLO・ジャパンギャルズ・ピコモンテ・ジャパン・BJCののれんと倍率、BJCとMISMの金額、ウェルヴィーナスの倍率を有価証券報告書・適時開示などの記載に合わせて訂正しました。あわせて、フラクタとfoufouの金額をアドバイザリー費用込みの総額から株式の代金に直し、foufouの取得を、吸収分割で事業を承継した会社の株式の取得と書き直し、ウェルネスモアラボラトリーズの譲渡先を開示の記載(同社の代表取締役)に合わせています)