EC・小売の会社を買うには、何から決めればいいか ── 買収の目的、今期1件の計画、買収後のPMIまでの進め方

「EC・小売の会社を買って、事業を伸ばしたい。でも社内にM&Aの担当者がいない」。買収を考える会社には、こうした事情を抱えるところがとても多いと私は見ています。

この動画では、買う側の会社に向けて、当社の買収支援の進め方を話しました。私はCommerceX M&Aの代表として売り手と買い手の両方を支援し、親会社のCommerceXホールディングスでは執行役員としてM&Aを担当しています。グループは、これまでに7件ほどの買収をしてきた。自分でもECの会社を7〜8年経営して事業を売り、国内最大手のM&A仲介会社で実務を積んでから独立しました。買い手企業の支援も、これまで何度も手がけています。

この記事の結論は次の4つです。

  • 買収は、なぜ買うのかという目的の設計から始める。時価総額を上げたい、新規事業を立ち上げたい、売上を伸ばしたい。ほとんどの会社は、このどれかだと思います
  • 自社で立ち上げるかM&Aで買うかを比べ、今期に1件買う業種を決める。業種が決まれば合う譲渡情報を集め、1件の買収から逆算して計画を立てます
  • 当社が担うのは、戦略づくり、譲渡情報の紹介と提案、相談役。社内のM&A担当者の役割を外から務めるサービスは、いまは行っていません
  • 買収後のPMI(買収後の統合)も、必要なら支援する。グループには、買収したブランドを育てた経験と、EC支援・基幹システムの会社があります

買収の目的から決める(動画 2:09〜)

買収を考える会社とは、なぜ買うのかという目的を組み立てるところから話します。買収したい理由は、会社ごとに違うからです。

上場している会社なら時価総額(株価に発行済み株式の数をかけた、会社の値段)を上げたい。新規事業を立ち上げたい。突き詰めれば、売上をさらに伸ばしたい。ほとんどの会社の目的は、このどれかだと思います。当社は、この目的の設計から一緒に進めます。

自社で立ち上げるか買うかを比べ、今期の1件を決める(動画 2:26〜)

社内にM&Aの担当者がいない会社とは、今期に1件買うと決めるところから一緒に進めます。買う業種が決まれば、やることもおおむね決まるからです。

社内にM&Aの担当者がいない。そういう会社がとても多いと思います。M&Aを支援できる人材は報酬が高く、専門の知識も要る。M&Aのあとに事業をどう伸ばすかという、事業戦略の知識も必要です。こうした人材は、なかなか見つかりません。

そういう会社と、今期は最低でも1件M&Aをしようと決めます。

「どういう会社を買うかと言ったときに、まず選択肢に入るのは、自社で立ち上げるのか、M&Aで買うのかというところです」(2:50)

やりたい新規事業はあるのに、立ち上げる人がいない。立ち上げても、新規事業の8割ほどは失敗すると私は見ています。それなら、この事業はM&Aのほうがよいのではないか。いくつもの選択肢からそう考えて、買う業種を決めます。

「その業種で、まず1件、今年中にM&Aをしようと決める。ある程度決めてしまえば、やることは結構決まってきます」(3:09)

大事なのは、その条件に合う譲渡情報を数多く集めること。そこからKPI(目標から逆算した途中の数字)を立てます。現場での業務の量を決め、確率として1件は買収できる計画にして進める。

当社が担うこと、まだ行っていないこと(動画 3:37〜)

当社が担うのは、合う譲渡情報の紹介と提案、そして相談役です。社内のM&A担当者の役割を外から務めるサービスは、今後立ち上げる予定で、いまは行っていません。

当社は、コマース領域の譲渡情報を複数持っています。それを紹介する。こちらから「この会社はどうですか」と提案する。相談役のような立場になれればうれしいと考えています。

支援の中身は一般的なものです。そのうえで、戦略を立てる段階から入ることを、当社は強みにしています。

買収後のPMIまで支援する(動画 4:07〜)

買収したあとの人材や仕組みづくりも、必要であれば支援します。当社グループには、買収したブランドを育ててきたPMIの経験があるからです。

グループでは、ゴルフのブランドPuttOUTなど、D2Cブランドを買収し、買収のあとに売上を伸ばしてきました。

買収のあと、人材がいない。買収した事業の責任者がいない。そうした会社に向けて、グループにあるものを使って支援しています。

グループにあるもの買収後にできること
PMIの経験買収したD2Cブランドの売上を伸ばしてきた経験から、PMIをうまく進める方法を伝える
ECでAIを活用する人材の支援買収後に人材や事業の責任者がいない会社を支援する
EC・コマース領域の支援会社グループの支援会社を紹介する
基幹システムの会社基幹システム(受注や在庫などを管理する仕組み)で、業務の仕組み化を手伝う

買収してから最初の100日の進め方は、買収後の100日は「変えない」が正解 ── EC事業の引き継ぎで落とさない5領域にまとめています。

相談から買収までの流れ(動画 4:33〜)

相談はヒアリングから始め、合う譲渡情報があれば紹介し、買収まで伴走します。買収ニーズがまだざっくりしていても、立て方から話せます。

段階当社がすること
1. ヒアリング買収ニーズが固まっていればそれをうかがい、ざっくりしかなければニーズの立て方から話す
2. 進め方を決めるどのくらいの進め方をすればよいかを話し合う
3. 譲渡情報の紹介当社が持つ譲渡情報の中に合うものがあれば紹介する
4. 買収まで買収まで伴走する
5. 買収後必要に応じてPMIも支援する

買い手が通る手続きの全体ははじめてEC事業を買う人が、ノンネームから引き継ぎまでに通る10工程で整理しました。情報が開示されたあとに届く企業概要書の読み方は、企業概要書はどこを疑うべきか ── 章ごとの「疑う場所」と確かめ方にあります。

CX BASEでできること(動画 6:06〜)

CX BASEはコマース領域のM&Aに絞ったプラットフォームで、譲渡情報を見て、気になればそこから問い合わせができます。この記事を載せているのも、このCX BASEです。

できること中身
譲渡情報を見るD2Cブランドの会社やEC支援の会社など、コマース領域に絞った譲渡情報が見られる
問い合わせる買い手の企業は、気になる会社があればそこから問い合わせ、情報の開示まで進められる
買収ニーズを登録する登録のときに入れた自社の買収ニーズに合う譲渡情報を、当社から今後紹介していく
ニュースと事例を読むM&Aのニュースと、どんな戦略をとればよいかのコンテンツ。コマース領域のM&A事例を、当社の見方を交えてまとめている

事例の記事では、他社がなぜこの会社をこの金額で買ったのかを書いています。たとえばジェイフロンティアによるウェルヴィーナスの買収事例 ── 営業利益0.56億円の会社に、なぜ22.4億円を払えたのか。社内でM&Aの戦略を考えるときに、役立ててもらえると思います。

この記事のまとめ

  • 買収は目的の設計から始める。時価総額、新規事業、売上のどれを狙うかを決める
  • 自社で立ち上げるかM&Aで買うかを比べ、今期に1件買う業種を決める
  • 業種が決まれば、合う譲渡情報を数多く集め、1件の買収から逆算して計画を立てる
  • 当社は戦略づくり、譲渡情報の紹介と提案、相談役を担う。社内の担当者の役割を外から務めるサービスは、いまは行っていない
  • 買収後のPMIは、グループの経験と、人材・EC支援・基幹システムの支援で、必要に応じて手伝う
  • CX BASEでは、コマース領域の譲渡情報を見て問い合わせができ、買収ニーズの登録や事例の記事も使える

よくある質問

Q. 社内にM&Aの担当者がいなくても、買収を進められますか。

A. 担当者がいない会社は、とても多いと思います。当社は、買収の目的を決め、今期に1件買う業種を絞るところから一緒に進める。そのうえで合う譲渡情報を紹介し、買収まで伴走します。ただ、社内の担当者の役割を外から務めるサービスは、いまは行っていません。

Q. 買収ニーズがまだざっくりしていても、相談できますか。

A. できます。ニーズが固まっていればそれをうかがい、ざっくりしかなければ立て方から話す。そのうえで、どのくらいの進め方をすればよいかを話し合います。

Q. 買収したあとの支援も頼めますか。

A. PMIの支援が必要であれば行います。買収後に人材や事業の責任者がいない会社には、ECでAIを活用する人材の支援がある。グループにはEC支援の会社と基幹システムの会社もあり、仕組みづくりを手伝えます。

ご相談ください

この記事の結論は「買収は、目的と今期の1件を決めるところから始め、買収後のPMIまで見て進める」です。

買収を考えている方へ。当社は、買収の目的と計画を立てる段階から入ります。買収ニーズがまだざっくりしていても、条件をうかがい、合う譲渡の情報をご案内します。

売却を考えている方へ。私自身もD2Cブランドを売った経験があり、いまはEC・コマース領域に絞ってM&Aを支援しています。まだ売るには早いかと迷っている段階でも、ご相談いただけます。

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書き手
齋藤 浩喜さいとう ひろき
CommerceX M&A株式会社 代表取締役

2014年より輸入・EC事業で起業。8年間で海外ブランドの日本展開に注力し、累計30以上のブランドの立ち上げ日本展開を行う。

2022年に自ら立ち上げたゴルフブランドPuttOUT事業をCommerceXグループへ事業譲渡。その経験を機に、国内最大手M&A仲介会社に入社。コマース領域のM&A実務に従事した。2026年5月、CommerceX M&A株式会社を設立し代表取締役に就任。同時にCommerceXホールディングス執行役員として、EC・小売領域のM&AとAI活用を推進している。

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