赤字・債務超過の会社に値段がついた5件 ── 買い手は利益の代わりに何を買ったのか

「営業赤字の会社を見ています。利益の何倍という計算が使えないので、上限をどこに置けばいいのか分かりません」。EC・D2C領域で買収を検討している事業会社から、この質問が届きます。

利益がマイナスなら、利益倍率は成立しません。それでも赤字の会社は買われています。純資産がマイナスの化粧品D2Cに2億円が付き、営業赤字3億円の中古ブランドECには、取得までに7割減った純資産を少し上回る金額が付きました。同じ「赤字」でも、結果は逆方向へ開きます。

この記事では、上場企業の適時開示から対象会社の純資産と営業利益を拾い、5件の値段を分解しました。金額はすべて株式の代金で、取得比率が100%でない案件は100%に換算しています。対象会社の財務は開示に載っている決算書ベース(利益修正前)の数字です。

この記事の結論は次の4つです。

  • 赤字の会社の評価額は、売上の0.08倍から6.0倍まで開いた。同じ赤字でも70倍を超える差が付く
  • 純資産がマイナスでも金額は付く。MAKE BEAUTUREは純資産△6,600万円で2億円、のれんは譲渡価額を上回る2億6,600万円
  • 純資産は取得までに動く。RECLOは発表時の純資産9億600万円が、連結に入れた時点で2億5,813万円まで減っていた。3億5,876万円はその1.39倍
  • 赤字の会社ほど、買い手は買う前に一緒に仕事をしている。業務提携から1年後の子会社化、既存株主との協業継続、投資フェーズの終わりの見極め

5件の一覧

5件はいずれも上場企業の適時開示または当社(CommerceX M&A)が開示から集計した案件で、対象会社は営業赤字・最終赤字・債務超過のいずれかに該当します。

対象会社(買い手)発表譲渡価額(株式分・取得比率)100%換算直近期の純資産直近期の営業利益100%換算÷売上
MAKE BEAUTURE(ジェリービーンズグループ)2025年10月2億円(100%)2億円△6,600万円△1,400万円2.4倍
RECLO(コメ兵ホールディングス)2024年4月3億5,876万円(100%)3億5,876万円9億600万円(連結時2億5,813万円)△3億200万円0.08倍
TOUCH TO GO(セキュア)2026年2月8億4,200万円(56.2%)14億9,800万円11億2,700万円△6,300万円1.55倍
ECPower(フィードフォースグループ)2026年3月1億700万円(84.8%)+株式交換1億1,600万円(払った総額)2,456万円△265万円6.0倍
ウェルヴィーナス(ジェイフロンティア)2024年2月15億40万円(67.0%)22億3,900万円1億7,600万円5,643万円(最終△4,395万円)0.79倍

純資産との関係で並べても、開きは10倍近くあります。TOUCH TO GOは発表時の純資産の1.33倍(取得日の純資産では1.73倍)、RECLOは連結時の純資産の1.39倍(発表時の純資産では0.40倍)、ECPowerは4.7倍、ウェルヴィーナスは12.7倍。MAKE BEAUTUREは純資産がマイナスのため、この計算そのものが成り立ちません。

赤字の会社は、何を基準に値段が付いたのか

赤字の会社で使われた物差しは2つ。売上に対する倍率と、同じものを自社で作った場合の費用です。どちらも「何年で回収できるか」とは別の考え方で成り立っています。

年買法(時価純資産に営業利益の1年から3年分を足す方法)は、営業利益がマイナスの会社では純資産以下の答えしか返しません。MAKE BEAUTUREに当てはめれば答えはマイナスになり、実際の2億円とは向きすら合わない。5件のうち4件は、この計算では説明できない金額です。

代わりに使われたのが売上倍率です。ただしこの倍率も、5件で0.08倍から6.0倍まで開きました。倍率そのものに相場はなく、売上の中身が倍率を決めています。継続課金の売上か、単発の売買の売上か、伸びているのか縮んでいるのか。RECLOの42億7,600万円とECPowerの1,944万円は、同じ「売上」という科目でも買い手にとっての意味が違います。

もう1つの物差しが代替コストです。同じものを自社で用意するなら、採用と開発と試行錯誤に何年、いくらかかるか。これが上限になります。TOUCH TO GOの無人決済システムも、MAKE BEAUTUREのライブコマース運用も、買い手が自前で作ろうとすれば時間が先に足りなくなる種類の資産です。

当社は、進行期が赤字だという一報だけで即断しません。為替なのか、広告の先行投資なのか、売上そのものが落ちているのか。内訳が分かるまで金額の話をしない。分かってから、下限と中心と上限の3本で示します。

買う前に、一緒に仕事をしている

5件のうち3件は、取引の前に売主側と何らかの関係がありました。赤字の会社は決算書で説明できないため、買い手は別の方法で中身を確かめています。

MAKE BEAUTUREは2024年10月25日に業務提携し、ちょうど1年後の2025年10月10日に子会社化が決まりました。TOUCH TO GOは、既存株主のJR東日本スタートアップとファミリーマートが引き続き株主として残り、事業連携も続く形です。ECPowerは、買い手の子会社が対象会社へ一部業務を委託していた取引関係がありました。

損益計算書で判断できない会社を、実際の仕事で判断する。この順番は買い手の側にも意味があります。提携の期間は、値段を決めるための調査期間そのものです。

MAKE BEAUTURE ── 債務超過6,600万円の会社に2億円

ジェリービーンズグループが2025年10月10日に基本合意を公表し、10月23日に経過を開示しました。33,160株を2億円で取得して議決権の100%を保有、取得前の保有はゼロです。第三者算定機関によるDCF方式で算定し、アドバイザリー費用は発生しないと明記されています。

決算期2022年11月期2023年11月期2024年11月期
売上高1億1,700万円1億3,300万円8,400万円
営業利益△5,600万円0△1,400万円
当期純利益△5,800万円△200万円△1,700万円
純資産△4,900万円△5,200万円△6,600万円

売上は1年で37%減り、純資産は3期連続でマイナス。それでも2億円が付きました。純資産がマイナスのため、のれんは譲渡価額を上回る2億6,600万円になります。

買い手の開示が理由を書いています。靴と親和性の高い化粧品・ビューティ領域への参入、販売チャネルと顧客基盤の相互活用によるLTV最大化、そして「TikTok、Instagram等のSNSやライブコマースに関する高い知見と実行力」を自社の靴事業へ広げること。払った対象は損益ではなく、運用の技能と発信力でした。

自社で同じ判断をするなら、確かめるのは技能が誰に属しているかです。従業員10名、株主にはインフルエンサーが並びます。技能が個人に紐づいているなら、その個人が残る条件を契約に書けているかで結果が変わります。

RECLO ── 発表時の純資産9億円、連結時の純資産2.6億円に3億5,876万円

コメ兵ホールディングスの子会社であるK-ブランドオフが、2024年4月3日に発行済株式の100%を3億5,876万円で取得しました。当時のRECLOは売上高42億7,600万円、営業利益△3億200万円、純資産9億600万円(2023年3月期)。中古ブランド品の買取・販売ECを運営し、中国のTmallに顧客基盤を持つ越境ECです。

発表時の純資産で割ると0.40倍ですが、有価証券報告書では、連結に入れた時点(2024年6月末)の純資産は2億5,813万円まで減っていました。譲渡価額はその1.39倍で、のれん1億146万円(5年償却)が計上されています。発表時の純資産から1年3か月で6億4,787万円、71.5%減った計算で、減った内訳は開示にありません。詳細は個別の事例記事にあります。

同じコメ兵ホールディングスは、同じブランドリユースのアールケイエンタープライズを42億円で取得し、こちらは営業利益4億8,100万円の3.3年分ののれんを払っています。買い手が同じでも、赤字の中身が違えば片方は純資産に1億円を上乗せした値段、片方は営業利益3.3年分ののれん。分かれ目は領域ではなく、赤字の出どころです。

発表時の純資産と連結時の純資産がここまで違うと、発表時の帳簿は値段の土台になりません。リユースの場合、在庫の評価がそのまま論点です。売上42億円に対して営業損失3億円という構造で、在庫が何日で回っているか。ここが読めなければ、純資産9億円という数字自体が使えません。

TOUCH TO GO ── 投資フェーズの終わりに8億4,200万円

セキュアが2026年2月20日に決議し、16,282株を8億4,200万円で取得して議決権の56.2%を保有します(アドバイザリー費用等を含めた合計は8億5,000万円)。取得前の保有はゼロ、株式譲渡の実行は2026年4月1日の予定です。

決算期2023年3月期2024年3月期2025年3月期
売上高2億1,500万円5億200万円9億6,800万円
営業利益△2億7,500万円△1億7,500万円△6,300万円
当期純利益△2億7,600万円△1億4,600万円△4,700万円
純資産10億2,200万円11億7,500万円11億2,700万円

3期とも営業赤字です。売上は2年で4.5倍になり、営業損失は2億7,500万円から6,300万円へ縮んでいます。買い手はこの傾きを判断の根拠にしました。開示にはこうあります。「TTGはこれまで研究開発や先行導入のための投資フェーズにありましたが、直近の売上高は著しく伸張しており、営業損益も大幅な改善傾向にあります」

56.2%を8億4,200万円で取得したということは、会社全体で14億9,800万円の評価です。純資産11億2,700万円に対して1.33倍、のれんに相当する差額は3億7,100万円になります(部分取得のため、連結財務諸表に計上されるのれんの額とは一致しません)。セキュアの半期報告書の数字から取得日の純資産で見ると1.73倍で、連結に計上されたのれんは持分56.2%の分の3億5,697万円(暫定・10年償却)です。

赤字でも純資産が厚い会社では、評価額が純資産の周りに落ち着きます。払っているのは将来の利益ではなく、すでに投じられた開発費とそこから生まれた導入実績です。買い手は自社の施工・保守ネットワークをTTGの製品へ回し、フィールドサポートの費用を減らすと書いています。赤字の一部が、買い手側で消える構造になっている。詳細は個別の事例記事にあります。

ECPower ── 従業員ゼロの会社に1億700万円

フィードフォースグループが2026年3月26日に決議し、発行済1,316,667株のうち1,116,667株を1億700万円で取得して84.8%を保有、残りは2026年5月1日の簡易株式交換で完全子会社化します。アドバイザリー費用はゼロ、算定はDCF法です。

決算期2023年6月期2024年6月期2025年6月期
売上高1,700万円900万円1,944万円
営業利益△300万円△800万円△265万円
当期純利益△400万円△800万円△286万円
純資産3,500万円2,700万円2,456万円

2025年6月期は、株式交換の事前開示書類に載った決算報告書の数字です(適時開示の表の売上高は2,200万円)。

Shopifyに特化した顧客分析ツールの開発と、Shopify Expertsとしての構築支援を手がける会社です。開示には「代表取締役1名及び外部委託により運営されており、従業員は存在いたしません」とあり、財務は監査法人の監査対象外だと注記されています。

現金の1億700万円に、残り15.2%の株式交換で渡した株式900万円を足すと、払った総額は1億1,600万円。純資産2,456万円に対して4.7倍、売上1,944万円に対して6.0倍です。連結に計上されたのれんは7,700万円でした。3期連続の営業赤字で、直近期の営業損失は265万円。金額を説明しているのは損益ではなく、Shopifyエコシステム内での位置です。

この規模の取引では、検証の対象が財務諸表から契約と人へ移ります。監査を受けていない決算、従業員ゼロ、代表1名への依存、外部委託先との契約。買い手側の既存事業に組み込んで初めて価値が出る形なので、組み込む担当者を初日に当てられるかが実質的な条件になります。詳細は個別の事例記事にあります。

当社の見解では、赤字の会社に払える額は相手の損益ではなく自社の受け皿で決まります。引き継いだ初日に事業責任者を当てられないなら、いくら安くても買いません。安く買えたこと自体は、何の成果でもない。

ウェルヴィーナス ── 営業黒字5,643万円で最終赤字4,395万円

ジェイフロンティアが2024年2月29日に公表し、1,492株を15億40万円で取得して議決権の67.0%を保有しました。サプリと化粧品の定期購入を主体とする会社です。

直近の2023年3月期は、売上高28億4,905万円、営業利益5,643万円、当期純損失4,395万円、純資産1億7,601万円。営業段階は黒字で、最終段階だけが赤字です。その差は1億38万円あり、営業外か特別の損益から出ています。

67.0%で15億40万円ということは、会社全体で22億3,900万円の評価です。純資産1億7,601万円に対して12.7倍、のれんは20億6,300万円。営業利益で割ると36.6年分になり、利益倍率としては成り立ちません。売上と比べると0.79倍。定期購入を主体とする事業では、継続する売上の規模を基準に価格が決まります。

この事例が示すのは、赤字という一語で括ると判断を誤るということです。営業赤字と最終赤字は、買い手の損益に与える影響がまったく違います。営業段階が黒字なら本業は回っており、下の段で何が起きたかを調べれば済む。逆に営業段階から赤字なら、引き継いだ翌月から同じ損失が続きます。

詳しい分解はジェイフロンティアによるウェルヴィーナスの買収事例 ── 営業利益0.56億円の会社に、なぜ22.4億円を払えたのかにあります。

買い手が読み取れること

赤字の会社では、上限の決め方・検証の対象・買った後の会計処理の3つが、黒字の会社と別物になります。

いくらまで払えるか

利益倍率が使えないとき、上限は代替コストで置く。同じ機能を自社で用意した場合の採用費・開発費・広告費と、そこにかかる年数を先に見積もる。この金額を超えたら、買うより作るほうが安いという境目です。5件のうち高い倍率が付いたMAKE BEAUTUREとECPowerは、どちらも「作ると時間がかかる」側でした。

純資産は上限ではなく、下限の目安として使う。RECLOのように、発表時の純資産が取得までに7割減った例も実在します。赤字が続く会社では、帳簿の資産がそのままの価値で引き継がれるとは限らない。在庫・売掛金・ソフトウェアの残高は、DDで個別に評価し直す対象です。

取得比率を下げて、上限を守る方法がある。TOUCH TO GOは56.2%、ウェルヴィーナスは67.0%です。全部を買わなければ、支出は比率のぶんだけ下がり、既存株主が事業に関与し続ける動機も残ります。残りをいつ・いくらで買い取るかを最初の契約に書いておくことが条件になります。

何を検証するか

赤字が買い手側で消えるかを、費用の項目ごとに確かめる。役員報酬、成長のための広告費、買い手の取引量で下がる物流・仕入・決済の単価、一度きりの費用。ここから出ている赤字は、引き継いだ後の損益計算書には現れません。売上そのものの縮小と粗利率の構造的な低下から出ている赤字は、買い手が引き継いでも同じ額で残ります。区分の詳細は赤字のEC事業に値段はつくのか ── 債務超過で2億円、営業赤字3億円で3.58億円がついた2つの事例にまとめています。

債務超過の中身を、負債の一覧まで開ける。純資産がマイナスの会社を株式で買えば、負債もそのまま移ります。役員借入金なのか金融機関の借入なのか、返済期限はいつか、個人保証がどう扱われるか。MAKE BEAUTUREのように総資産8,500万円の規模でも、この確認を飛ばすと引き継いだ後に資金が必要になります。

キーパーソンと株主構成を、同じ重さで確認する。赤字の会社の価値は、多くの場合1人か2人の技能に集中しています。ECPowerは従業員ゼロで代表1名。MAKE BEAUTUREは従業員10名で株主にインフルエンサーが並びます。誰が抜けたら価値が消えるのかを特定し、その人が残る条件を契約に書く。

監査を受けていない決算は、数字の作られ方から確かめる。ECPowerの開示には監査対象外だと注記があります。売上の計上時期、外注費の計上、資産計上したソフトウェアの中身。小規模な会社ほど、決算書の正確さそのものが検証の対象です。

買った後に何が起きるか

のれんが譲渡価額を上回る取引では、減損の対象は払った額より大きい。MAKE BEAUTUREののれんは2億6,600万円で、譲渡価額2億円を6,600万円上回ります。計画が下振れすれば、この全額が減損の候補です。赤字の会社を買うということは、買った直後から減損リスクを抱えるということでもあります。

連結した最初の期は、買い手の損益が悪化する。Aiロボティクスは2026年4月1日(発表は3月27日)にBJCを255億5,000万円で取得しました。BJCを連結した最初の四半期にあたる2027年3月期第1四半期は、売上高110億7,500万円に対して営業損失5億3,100万円、経常損失7億3,700万円、四半期純損失4億9,500万円。会社の説明では、主因は卸向け販売への切り替えの投資で、のれん償却3.6億円とM&A関連費用2.4億円もこの四半期に入っています(2つの合計は営業損失より大きい額です)。通期予想は据え置かれています。黒字の会社を買った場合でも、初期はこうなります。赤字の会社ならなおさら、連結後の四半期をどう説明するかを先に用意しておく必要があります。詳細は個別の事例記事にあります。

運転資金が追加で必要になる。赤字の会社は現金が減り続けている状態で引き継がれます。譲渡価額のほかに、黒字化までの資金を誰がいくら出すか。買収の稟議に、この金額を入れていない例が見られます。

販路を広げる、広告を増やす、値上げをする。これらは増幅装置であって、商品が弱ければ何を足しても空回りします。赤字の会社を買うときに当社が見るのは、赤字の額ではなく、増幅できる商品があるかどうかです。

この記事のまとめ

  • 赤字の会社の評価額は、売上の0.08倍から6.0倍まで開いた。倍率に相場はなく、売上の中身が倍率を決めている
  • 純資産マイナス6,600万円のMAKE BEAUTUREに2億円が付き、のれんは譲渡価額を上回る2億6,600万円になった
  • RECLOは発表時の純資産9億600万円が連結時に2億5,813万円まで減り、3億5,876万円はその1.39倍。赤字の会社では純資産が取得までに大きく動く
  • TOUCH TO GOは3期とも営業赤字ながら、営業損失が2億7,500万円から6,300万円へ縮む傾きが評価された
  • ウェルヴィーナスは営業黒字で最終赤字。営業段階の赤字と最終段階の赤字は、引き継ぎ後の意味が違う
  • 5件のうち3件は、取引の前に業務提携・株主関係・取引関係があった
  • 買った後には、のれん全額の減損リスクと、連結初期の損益悪化と、追加の運転資金が続く

よくある質問

Q. 債務超過の会社を株式で買っても大丈夫ですか。

A. 負債も引き継ぐことを前提に価格を決めれば成立します。MAKE BEAUTUREは純資産△6,600万円の状態で株式の100%が2億円で移りました。確認するのは負債の内訳です。役員借入金なら引き継ぎ時に処理の相談ができ、金融機関の借入なら返済期限と担保、個人保証の扱いが交渉の対象になります。負債を引き継ぎたくない場合は、事業譲渡で必要な資産と契約だけを取る形もあります。

Q. 赤字の会社に、のれんを払う理由がありますか。

A. 払っている買い手は、損益ではなく資産に払っています。5件では会員基盤、運用の技能、開発済みの製品と導入実績、特定エコシステム内での位置でした。判断の基準は「同じものを自社で用意するなら何年・いくらか」です。この金額より安ければ、赤字でものれんは説明できます。逆に自社で3か月あれば作れるものなら、のれんはゼロが妥当です。

Q. 純資産割れで買えるのは、どういう場合ですか。

A. 帳簿の資産が帳簿どおりの価値で引き継がれないと買い手が判断した場合です。RECLOは発表時の純資産9億600万円に対して3億5,876万円で0.40倍に見えましたが、連結に入れた時点の純資産は2億5,813万円まで減っており、実際には1.39倍でした。リユースやEC小売では、在庫の滞留と評価が主な要因になります。売り手側の現金の残り月数が短いほど、価格はこの方向へ動く。買い手としては、在庫の年齢別の一覧と回転日数を早い段階で求めてください。

Q. こうした赤字の案件は、どこで見つかるのですか。

A. 適時開示で公表されるのは、買い手が上場企業で開示義務がある場合に限られます。非公表の取引のほうが数としては多く、赤字・債務超過の会社ほど公表されにくい。CX BASEでは、買いニーズを登録いただいた企業へ、条件に合う案件を公開前にご案内しています。赤字の案件については、当社で赤字の内訳と引き継ぎ後に消える費用の見積りを整えたうえでお渡ししています。

ご相談ください

この記事の結論は「赤字の会社の値段は、損益ではなく資産と代替コストで決まる」でした。金額の幅は売上の0.08倍から6.0倍まで開きます。

CX BASEは、EC・小売・D2C領域の譲渡案件を扱っています。買いニーズを登録いただいた企業には、条件に合う新着案件のご案内と、公開前の個別打診が届きます。登録に費用はかかりません。物流・仕入・決済・人員のどこを自社に取り込めるかをお聞かせいただければ、その条件で黒字化する売り手が現れた段階でご連絡します。

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出典

  • MAKE BEAUTURE:ジェリービーンズグループ株式会社 適時開示(2025年10月10日基本合意、2025年10月23日経過開示)、業務提携の適時開示(2024年10月25日)。当社が原本から全項目を抽出(2026年9月1日確認)
  • RECLO:株式会社コメ兵ホールディングス 適時開示(2024年4月3日、子会社K-ブランドオフによる株式取得)、有価証券報告書 第47期(2025年3月期)の企業結合注記(2026年10月16日確認)
  • TOUCH TO GO:株式会社セキュア「株式会社TOUCH TO GOの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」(2026年2月20日)。2026年9月4日確認
  • ECPower:フィードフォースグループ株式会社「株式会社ECPowerの株式取得及び簡易株式交換による完全子会社化に関するお知らせ」(2026年3月26日)。2026年9月4日確認。払った総額・のれん・2025年6月期の決算報告書:同社の株式交換の事前開示書類・有価証券報告書(2026年5月期)(2026年10月16日確認)
  • ウェルヴィーナス:ジェイフロンティア株式会社「株式会社ウェルヴィーナスの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」(2024年2月29日)
  • アールケイエンタープライズののれん年数:上場企業の適時開示から対象会社の営業利益・純資産を取得し当社が算出(2026年8月30日確認)
  • Aiロボティクスの連結初四半期:株式会社Aiロボティクス 2027年3月期第1四半期決算(2026年4月から6月)およびBJC株式取得の適時開示(2026年3月27日)、同決算の質疑応答の要約(2026年10月16日確認)
  • 100%換算・のれん・純資産倍率・売上倍率の計算:いずれも当社が開示の数値から算出。対象会社の財務は決算書ベース(利益修正前)

(2026年10月16日:RECLOの純資産の倍率とのれん、ECPowerの払った総額・売上・のれん、BJCの取得日、ウェルヴィーナスの取得の対価を有価証券報告書などの記載に合わせて訂正し、BJCの営業損失に会社の説明を、TOUCH TO GOの取得日の純資産の倍率とのれんを足しました)

書き手
齋藤 浩喜さいとう ひろき
CommerceX M&A株式会社 代表取締役

2014年より輸入・EC事業で起業。8年間で海外ブランドの日本展開に注力し、累計30以上のブランドの立ち上げ日本展開を行う。

2022年に自ら立ち上げたゴルフブランドPuttOUT事業をCommerceXグループへ事業譲渡。その経験を機に、国内最大手M&A仲介会社に入社。コマース領域のM&A実務に従事した。2026年5月、CommerceX M&A株式会社を設立し代表取締役に就任。同時にCommerceXホールディングス執行役員として、EC・小売領域のM&AとAI活用を推進している。

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